August 29, 2019

持続可能性の高い事業を目指して

Japan Times ESG Consortium

(From left) Satoshi Sato, senior officer of the Sustainability Development Department of Seven & I Holdings Co.; Masaki Takao, CEO and co-founder of Jeplan Inc.; and Commons Asset Management Inc. Chairman Ken Shibusawa participate in a seminar on recycling plastic on July 26 in Tokyo. | COMMONS ASSET MANAGEMENT INC.

世界でますます高まるプラスチックゴミの問題に対して、長期投資を専門とするコモンズ投信は7月26日、都内でプラスチックのリサイクルをテーマとしたセミナーを開催した。

セミナーでは、2つの企業の関係者がリサイクルの取り組みについて発表した。1人目はセブン&アイ・ホールディングスのサステナビリティ推進部シニアオフィサーの佐藤聡氏で、もう1人は、環境技術を生かして循環する社会を作ることに尽力している日本環境設計の共同設立者で、代表取締役社長の高尾正樹氏だった。

セミナーの開催にあたり、コモンズ投信の取締役会長である渋澤健氏が2人の登壇者について、次のように紹介した。「片方は大手の小売店。この会社がプラスチックの使い方を変えれば、多くの業界に影響を与えるものと思われます。もう片方は、環境系ベンチャー。これら2社が共に活動できる方法が見つかれば、興味深い組み合わせになるのでは、と思ったのです」

18の国と地域に69,200店舗を持つセブン&アイの佐藤氏は、毎日約6,400万人が店舗を訪れると話した。

「これだけたくさんの方が、われわれのお店で買い物をするわけですから、われわれが生み出している環境負荷についても自覚しています」と、佐藤氏は述べた。

その上でセブン&アイでは、フードロスとリサイクル、プラスチック対策、二酸化炭素の削減と持続可能な調達という、4つの環境テーマに取り組むための宣言、「グリーンチャレンジ2050」をスタートさせた。

佐藤氏はこれらのうち、日本が特にイニシアチブを持って取り組むべきものとして、プラスチックゴミの削減を挙げた。

「消費財メーカーの本社の多くはヨーロッパにありますが、主な消費地域はアジアです。日本は一人当たりのプラスチックゴミ排出量でいうと、アメリカに次いで世界2位です」と、佐藤氏は語った。

取り組みの1つに、コンビニなどに設置したペットボトルの回収箱がある。使用済みのペットボトルは、提携先のリサイクル業者の工場で処理され、新しいペットボトルになる。

「nanaco カードやアプリにポイントを付与することで、ペットボトルの返却を促しています。これまでに約1,800万人が参加しています」と、佐藤氏は述べた。

nanaco は、セブン&アイの店舗で利用可能な電子マネーカードだ。

一方、日本環境設計を2007年に立ち上げた高尾氏は、リサイクルに基づく新しい消費文化を創造すると同時に、リサイクルを楽しい経験にすることが重要だと強調した。

日本環境設計は、着古した服をバイオ燃料にするというアイデアを基に始まった。

「捨てられた古着は、ほとんどが焼却されるか埋め立てられるかのどちらかです」と、高尾氏は話した。そして、「酵素を使って綿の繊維を分解し、グルコースを取り出せば、バイオ燃料を作れるのではないかと考えました」と述べた。

高尾氏のアイデアは正しかった。綿繊維からグルコースを取り出し、それを主にパン作りに使われるイーストと混ぜて熱することで、バイオエタノールを作ることに成功したのだ。

「バイオ燃料を作る技術と工場は出来ました。次の問題は、どうやって効率的に、また安定的に、古着を集めるか、ということでした」と、高尾氏は語った。

そこで日本環境設計は2010年、一般的に MUJI として知られる良品計画と提携し、日本各地の店舗に古着の回収箱を設置した。

「しかし、人に興味を持ってもらうことは難しく、工場を動かし続けるだけの古着を集められませんでした。古着を提供してもらうためには、何かモチベーションを与えなければ、ということに気付きました」と、高尾氏は話した。

このモチベーションは、現実の世界に SF 感を与えるイベントという、効果的かつ驚くべき形で実現した。

「1985年の映画、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では、2015年からやってきたとされるタイムマシーンのデロリアンが、ゴミから作られた燃料で動くのです。それこそわれわれがやっていることなのでは?」と、高尾氏は述べた。

この企画のおかげで、日本中の人たちが、映画と全く同じ2015年10月21日にデロリアンがバイオ燃料で東京の街を走るのを見たいと古着を持ち寄り、イベントは成功を収めた。

他にも日本環境設計は、ポリエステルを分子レベルまで分解した上で、新しい洋服を作るための生地にし直すという化学的な方法を開発した。また、使用済みのペットボトルをほぼ不純物ゼロの状態に処理して、新しいペットボトルにするという革新的な工場も造った。

「リサイクルの原料を持っているのは、いつも消費者なんです。彼らの行動が世界を変えることに気付いてもらえるよう、手助けしたいと思います」と、高尾氏は語った。

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