April 08, 2019

地域の資源から始まる新しい取り組み(一般社団法人アシタカ代表 赤木直人氏)

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Ashitaka President Naoto Akagi speaks at the seventh Satoyama Cafe on Jan. 15 in Tokyo. | YOSHIAKI MIURA

東京で開催された「第7回 Satoyama カフェ」には、岡山県真庭市の一般社団法人アシタカ代表の赤木直人氏が登壇し、市の北東に位置する中和という地域で、どのようにして地域資源を効果的に利用しているかについて語った。

1月15日に開催されたこの催しは、Japan Times Satoyama 推進コンソーシアムと、ガイアックスとおうえんフェスによって設立された「地域おうえん BASH」の共催で実施された。里山推進コンソーシアムは、地方の里山を活用する取り組みを支援している。

赤木氏はアシタカを運営し、14の地域に根差したプロジェクトを率いている。赤木氏は大阪に生まれ、岡山県の大学に進学、小売店のバイヤーとして都市部での生活を送った後、子どもの誕生を機に、妻の実家のある中和へ移住した。家族や地域の人々との時間を増やし、個でなく、群れで生きていこうという思いからだった。

「長女が生まれたころ、毎朝早く家を出て、遅くに帰ってくる生活だったので、起きている長女に会えたのは1カ月にほんの数日だったんです」と赤木氏は述べた。慌ただしい都会の生活では、近所の人と知り合う時間もない。

中和では、人々の生活は地域に深く根ざしている。「地元のお祭りが年間18回もあって、中和神社の境内と小学校の校庭は境目がなく、つながっているんです」と赤木氏は話した。

日本の地方の多くは過疎化と高齢化の加速に悩まされているが、人口600人ほどの中和も例外ではない。

赤木氏は、地域の市場を活性化させるには地域経済の底上げが必要だと感じたという。そして、中和を、住民が住み続けたくなる場所、移住者が入ってきたくなる場所にするために、地域の記憶、知恵、考え方をベースにしたなりわいづくりを始めることにした。

まず一つ目に手がけたプロジェクトは、公共の温泉宿泊施設である津黒高原荘に備えられた、温泉水を温める2基のまきボイラーの管理だった。

「自治体がボイラーを導入したのですが、運営に関しては何も決まっていなかったので、手を挙げて、まずはまきの仕入れ、販売価格を決めるところから始めました」と赤木氏は述べた。

自分が所有する土地や、過伐にならないようゾーニングされた自治体所有の土地で木を切って、運んでくるのは主に地元の高齢者たちだ。アシタカは、軽トラックにいっぱいのまきを6,000円で購入し、ボイラーで使えるように処理する。

「誰もが参加できるよう、なるべく分かりやすくすることが大切なんです」と赤木氏は語った。

当初、地域の全250世帯にチラシを配り、14人がまきの供給者として参加した。赤木氏自身、この地域の新顔であったわけだが、参加者と信頼関係を築く中、徐々に協力者が増えていった。移住者も、住み始めたその日から収入を得ることができ、同時に地元住民とのつながりを育てることができる。

もう一つ、地域資源を活かしたアシタカの事業に、いぶりがっこの製造が挙げられる。いぶりがっこは元々秋田県の特産品だが、赤木氏は、近所の農家の庭先に余った大根が放置されているのを見て、これを無駄にしないために何ができるかを考えていた。

保存食品を作ることが解決策になるのではと考えた赤木氏は、それから毎年秋田県を訪れ、いぶりがっこの作り方を学んだ。4年間の試行錯誤の末、ついに食品添加物を使用しない、いぶりがっこの製造に成功し、2016年から販売している。

「昨年は3,000本のいぶりがっこが数週間のうちに売り切れました。作り方を教え、支えてくれた秋田の方々も喜んでくれました。今では、お互いの商品を紹介し合っています」と赤木氏は述べた。地域に根差したこのビジネスは、地域の中だけで盛り上がるのではなく、遠く離れた二つのコミュニティをつないだのだ。

アシタカは、地域で採れるクロモジでお茶や精油も作っている。

「このプロジェクトには、6人の方が興味を示してくれました」と赤木氏は話した。

日本の地方では、資源はあるにも関わらず、人材やスキルが世代交代で失われていくために、多くの仕事が地域外に流れ出てしまっている。

「そういった仕事を地域内に取り戻すことが、アシタカの目標です」と赤木氏は語った。

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