June 06, 2018

青森県で洗練されたときを過ごす〜むつ市の宮下宗一郎市長(青森県むつ市)

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Mutsu fishermen planting trees. | CITY OF MUSTU

本州最北端にある青森県の下北半島の端に位置しているむつ市。

人口約6万人の同市は今年、国土交通省から32ある地方再生コンパクトシティのモデル都市の一つに選ばれた。

ここも他の多くの地方コミュニティと同様、人口は減少傾向にあるが、むつ市の宮下宗一郎市長が注力するのは、いかにして小さく、かつ魅力的な町をつくるかだ。

減りゆく居住人口を埋め合わせるために、交流人口や短期滞在人口を増やすのは目先の経済政策にすぎず、より良い地域社会を作ることにつながらないと、宮下市長は考える。

「新しい価値や文化を創造することが重要です。そこで必要不可欠になるのが時間という要素です」と、宮下市長は述べた。

海や山に囲まれたむつ市は、森林・水産資源の両方に恵まれている。

この地域はホタテが有名で、その養殖には60年以上の歴史がある。一般的にホタテは1日300リットルの水を飲み、3年かけて成長する。山の森から流れ出る水によって育てられるホタテの質は、水の質によって決まる。

むつ市の漁師は、山や里山(山の斜面の天然林と平地の居住地との間にある植林地)の恵みを受けていることを身にしみて感じている。

下北半島の80%は森林である。冬に降り積もった雪はゆっくり溶けて、栄養豊かな腐葉土の層を通過して地下に染み込む。このミネラル豊富な水は川に流れ込み、ホタテの養殖が行われている陸奥湾に到達する。

山深く、人の手が及ばない原生林とは異なり、里山は人間が程よく管理し、世話をすることで最も効果的な環境資源となるのだ。

これを念頭にむつ市は、長年放置されてきた市有林を漁師に提供し、そこに彼らに植樹してもらうという活動を行っている。漁師自身が部分的に森づくりに関わり、そこから流れ出る水でホタテが育てられるということで、地域の中で環境の循環が完成しているのだ。

またむつ市ではウニ漁も行っており、その歴史は120年以上に渡る。市は今月、ジオ・ダイニングと呼ばれるイベントを企画した。これは一連の美食イベントの第一弾で、地元で獲れたウニがほぼすべての料理で提供された。

このイベントは、波浪や激しい雨風によって形成された岩の連なる仏ヶ浦で行われた。これらの岩々は下北半島西岸、陸奥湾への入り口に形成されている。

仏ヶ浦は下北ジオパークのジオサイトであり、下北ジオパークは、日本ジオパーク委員会が認定した国内に43カ所あるジオパークの一つだ。

この第一弾のジオ・ダイニングでは、むつ市や東京の著名な料理人がウニやその他の地元のおいしいもので作った、洗練されたコース料理が並んだ。ジオパークのダイナミックな景観が広がる中、メディア関係者を含む招待客は食事を楽しんだ。

「こうしたイベントを通して、他の場所では味わえない環境や味覚を楽しんでもらうことができるのです」と宮下市長は語った。より効果的かつ持続可能な地域振興のためには、その場所や物に閉じ込められた「時間」を提供することが重要だと、宮下市長は考えている。

今後の取り組みとして特筆すべきもう一つのプロジェクトが、市民ワインの生産である。むつ市は北半球のワインベルトのほぼ中央に位置しており、気候がぶどうの栽培に適しているのだ。

むつ市には15年前から民間のワイナリーがある。だが市民ワインの取り組みで面白い点が、市民が自宅の家庭菜園でぶどうを作るということ。そこで収穫されたぶどうはワイナリーが集荷し、ワインにする。

このような物語があると、消費者はそのワインを味わうだけでなく、むつ市の人々が費やした時間や努力に思いを馳せることができる。専業の農家ではなく、消費者と変わらない一般の市民が自宅の裏庭でぶどう作りをしているという、生き生きとしたイメージが浮かび上がってくるのだ。

「大地と人が培ってきた時間の洗練を受けた価値や文化の創造こそ、われわれがやろうとしていることです」と宮下市長は話した。

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