February 24, 2023

Vol. 21: FROM THE EDITOR

By YOSHIKUNI SHIRAI / EDITOR-IN-CHIEF

日本は素粒子物理学と加速器技術の分野で、世界の最先端と言える国です。素粒子物理学の研究では、湯川秀樹(1949年)、朝永振一郎(1965年)、小柴昌俊(2002年)、南部陽一郎、益川敏英、小林誠の3氏(2008年)、梶田隆章(2015年)といったノーベル賞受賞者を輩出しています。

そのノーベル賞を支えてきた理由のひとつが、優れた加速器を生み出す技術力と運用実績です。茨城県つくば市にある<高エネルギー加速器研究機構(KEK)>が持つ「KEKB加速器」は、世界で最も密度の高い電子ビームを作り出す施設で、ここでの実験結果が2008年のノーベル賞に貢献したといわれています。

このような素地のある日本で現在、東北地方・北上山地に計画されているのが「国際リニアコライダー(ILC)」です。硬い岩盤で覆われた山地の地下100mに、20キロの長さの衝突型加速器を建設。両側から素粒子(電子と陽電子)を光速で正面衝突させ人工的にビッグバンを再現、宇宙誕生の謎を探ろうというものです。ILCは日本だけで作るのではなく、建設から運用までを様々な国や地域が協力して行い、そこでの実験結果も共有していきます。今何かと各国のエゴが前面に押し出される国際情勢のなか、国際協調の元に進められる科学技術の粋を集めたプロジェクトに、期待したいと思います。

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