March 22, 2019
旅行ウェブサイト、地方観光を推進(株式会社D2C)
美しい自然、健康的な郷土料理、そして旅行者が母国に帰った後でも記憶に長く残る、日本ならではの珍しい文化体験。
これらは日本の遠隔地に旅するメリットのほんの一部だ。東京、京都など主要都市が主な観光名所になっているが、近年、地方を旅する外国人旅行者が増えてきている。
この傾向は、日本の魅力を多言語で紹介するウェブサイト「Tsunagu Japan」で顕著に見られる。同サイトは英語、繁体字中国語、簡体字中国語、タイ語で日本の観光名所に関する記事を配信する最大級のウェブサイトの1つで、1か月に約150万人のユニークユーザーと約400万ページビューを誇る。
同サイトを運営している株式会社D2C Xの萩原良社長は、千葉県と石川県のとある場所の記事がそれぞれ「Tsunagu Japan」やSNSで非常に反応が良かったと述べた。
また、記事を見て記事中のホテルに予約を入れた、というコメントもあったという。
「外国人が地方に求めているものは、温泉、グルメ、豊かな自然などです。伝え方次第で外国人観光客はいくらでも増えるでしょう」と萩原社長は語った。
2020年までに年間4,000万人の外国人観光客を誘致するという政府目標に向けて旅行者が顕著に増加する中、自治体は地域経済を活性化させるチャンスを見出している。特に、里山資本主義に基づく観光資源は地域活性化の鍵になる主な要因であろう。
Tsunagu Japanの記事に、千葉県長南市にあるユニークなホステルを紹介しているものがある。同ホステルは、人口減により閉校になった旧長南西小学校が生まれ変わったものだ。音楽室、図書館など小学校に通常あるものが残っており、観光客は日本の典型的な小学校がどのようなものかを垣間見ることができる。
また、このホステルでは、僧侶が来て座禅を体験することもできる。給食スタイルの朝食もあり、近所の山では絶景のハイキングコースや清流の滝を楽しめる。
萩原社長は、地方観光に関する記事の需要が特にリピーター旅客に多いと見込み、関連記事を増やしたい考えだ。東京、大阪、京都、富士山などの大都市や有名な場所に行く旅行者は多いが、一度の滞在で日本に引き付けられた旅行者は様々な場所に行き日本を愛する友達に体験を伝えたい、と考える傾向がある。
D2C Xの中西恭大取締役は、アジアからの観光客は欧米諸国からの観光客より日本をリピートする傾向が強いという。ただし、欧米人は滞在期間が長く多くの場所に行くので、一回の旅行で有名ではない地方にも行く傾向があるとのことだ。
それでも、主要都市の人気は根強く、Tsunagu Japanの3,600本の多言語記事の多くは東京、大阪、京都、福岡、北海道、沖縄についての記事だと萩原社長は述べた。
英語、繁体字中国語、簡体字中国語だけで外国人旅行者の7割を占める、と萩原社長は見積もる。今後、韓国語、ベトナム語、インドネシア語で記事を配信しさらに多くの言語需要に答えたい考えだ。
また萩原氏によると、サイトのページビューの半分以上が台湾と香港からで、その後にアメリカ、タイと続くという。日本からのビューは10パーセント強で、ほとんどが来日中の外国人旅行者だ。
日本を世界に発信したいという彼の情熱は、彼の子供の頃にさかのぼる。彼は小学校を通じて、6年間イギリスとドイツに住んでいた。
「周りに日本人がいなかったので、日本についてもっと知ってほしいという思いを強く持つようになりました。そこで、30歳までに自分で会社を興すことを決めました」と萩原社長は述べた。
29歳のときの2012年に萩原社長はFacebookで日本の魅力やポップカルチャーについての投稿を開始し、50万から60万人のフォロワーを集めるまでになった。2013年9月、(株)TSUNAGUを創業、2014年7月にウェブサイトTsunagu Japanを立ち上げ観光コンテンツに特化した。去年12月、(株)D2Cによる買収を経て今年1月社名を(株)D2C Xに変えた。