「Sustainable Japan magazine” by the japan times」は、
毎日の生活の中から、持続可能な生活習慣や地球の未来のことを考える月刊新聞がスタートしました。


2021年を生きる私たちにとって、ESG(Environment, Social, Governance)とSDGs(Sustainable Development Goals)のことを考えずに、
生活したり、仕事をすることはできません。地球温暖化や環境汚染、経済格差の問題など、地球規模で発生している様々な問題に直面する私たちにとって、この2つの言葉は重要なキーワードになっています。

この新聞の表紙の写真、デスクの上に置いてある一冊の本は、伝説の雑誌「WHOLE EARTH CATALOG」の最終号で、1974年にアメリカ・カリフォルニアで発行されたものです。
アップルの創業者スティーブ・ジョブズが2005年6月12日に行われたスタンフォード大学の卒業式スピーチで、この雑誌の最終号に書かれていた「Stay Hungry. Stay Foolish.」という言葉を学生に贈り、
この言葉でスピーチを締めくくったことから、この雑誌が再び注目を集めることになりました。このスピーチの中でジョブズが語っているように、この雑誌は、テーンエイジャーだった彼の仲間の間でバイブルのような存在だったそうです。
彼自身もこの雑誌から多大な影響を受けたと語っています。

1974年に発行された最終号、The last whole catalogの表紙。| PHOTO: KOUTAROU WASHIZAKI

この雑誌を作ったのはスチュアート・ブランド(1938年~)というひとりの編集者で、「WHOLE EARTH CATALOG」の第一号は1968年に出版されました。この雑誌は当時のアメリカ・西海岸のカウンターカルチャーを背景に誕生し、国や大企業に依存せずに、個人個人が生活していくために必要な道具(Tool)や知識・アイデアを提供するカタログでした。パーソナル・コンピュータがないこの時代に、生活に必要な情報を一冊の雑誌にまとめた、今でいうGoogle検索で様々な情報にアクセスできるということを、雑誌で表現したようなものだったわけです。その創刊号の表紙に使われたのが、真っ暗な宇宙に浮かぶ、青い地球の姿を写した写真です。実はこの写真が、一般の人々が初めて目にする全地球の姿でした。

スチュアート・ブランドは、こう考えていました。「私たちが自分たちの未来について真剣に考えるためには、全地球の姿を見て、そのイメージを人々が共有することが必要だ」と。しかし当時は米ソ冷戦の最中、宇宙で撮影された衛星写真は国家の軍事機密事項だったため非公開でした。彼は、NASAが撮影した、宇宙から見た地球全体を撮影した写真があるという噂を聞き、衛星画像の情報公開キャンペーンを行いました。その結果、苦労してようやく入手した写真を「WHOLE EARTH CATALOG」の表紙に使ったのです。

白井良邦(サスティナブルジャパンマガジン編集長)
YOSHIKUNI SHIRAI (SUSTAINABLE JAPAN MAGAZINE/EDITOR IN CHIEF)

このスチュアート・ブランドの衛星画像情報公開キャンペーン中に彼が知り合い、この運動を支援したのが、建築家で思想家のリチャード・バックミンスター・フラー(1895-1983)でした。フラーはその生涯を通じて、人類の生存を持続可能なものにするための方法を探り続けた偉大な人物です。なかでも「Spaceship Earth(宇宙船地球号)」という考えは、若き編集者スチュアート・ブランドにも影響を与えました。「Spaceship Earth(宇宙船地球号)」という概念は、地球上の資源の有限性や、資源の有効活用を語るため、地球を閉じた宇宙船に例えて使う言葉です。フラーはこの概念のもと、宇宙的な視点から地球での経済活動のあり方や資源・エネルギー問題を説明するため、1963年に「Operating manual for Spaceship Earth(宇宙船地球号操縦マニュアル)」を出版しました。フラーは、この本の中で、有限な化石資源を消費し続けることに警鐘を鳴らし、風力・水力・太陽から得られる自然エネルギーの活用の重要性を訴えました。同時に、現在の経済や政治のシステムでは、自然エネルギーの活用を実行するのは不可能であるとも述べ、社会や教育の変革の必要性を説いています。

この“Sustainable Japan magazine” では、毎月最終土曜日に、ESG/SDGsを切り口に、日本発の食・建築・旅・ファッション・芸術などの興味深い情報をお届けいたします。 毎日の生活の中から、持続可能な生活習慣や地球の未来のことを考える――。Sustainable Japan magazineは、そんなきっかけづくりのお手伝いをする紙面づくりを心掛けていきます。

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