November 01, 2019

ESGの投資トレンドについて話し合う

Japan Times ESG Consortium

Panelists discuss the theme “Deepening ESG investments: engagement and integration” at the 2019 Leaders’ Conference held in Tokyo on Sept. 26. | YOSHIAKI MIURA.

「2019 リーダーズ・カンファレンス」が9月26日、東京で開催され、ビジネスリーダーや金融の専門家が、投資の世界において高まる環境、社会、ガバナンス(ESG)の重要性について意見交換を行った。

Japan Times ESG 推進コンソーシアムと国際金融情報センターの共催、ラッセル・インベストメントの後援で行われたこの催しでは、投資の役割と傾向について、2つのパネルディスカッションが行われた。

2つ目のパネルディスカッションでは、マラソン・アセット・マネジメント東京事務所日本調査担当の高野雅永氏、ひびき・パース・アドバイザーズの代表取締役社長で投資責任者の清水雄也氏、そしてアトランティック・インベストメント・マネジメントの副社長でアジア・リサーチ担当の山田健一朗氏が、「深化する ESG 投資:エンゲージメントとインテグレーション」というテーマで意見を交わした。

モデレーターはラッセル・インベストメントのシニア・アナリスト、辻野香織氏が務め、まずはパネリストらがどのようなタイプの投資家なのか、自己紹介を求めた。

山田氏は、アトランティック・インベストメント・マネジメントはニューヨークにある、中規模企業への投資に特化したグローバルなエクイティ・ヘッジファンドだと紹介した。

「基礎研究に基づいたボトムアップ・アプローチを行ない、流動性を確保しながら、投資先との建設的な対話を維持しています」と、山田氏は述べた。

ひびき・パース・アドバイザーズの清水氏は、日本の企業をバリュー投資を通して改善することに関心を持つ、アクティビスト・インベスターと、自身の会社を位置付けた。

高野氏は、マラソン・アセット・マネジメントは1兆円分以上の日本株を保有しており、これを長期的にアクティブ運用していると話した。

「しかし、持っているだけでは利益を生まないのです」と、高野氏は述べた。

次に辻野氏は、高いリターンを追求しつつ日本株の評価を上げるために、投資家はどのように投資先に関わっていくべきか、その役割と事例について質問した。

高野氏は、託した株式資本が適切に使われているかどうかを、丁寧に注視することの重要性を強調した。

「アセットオーナーから託されたお金を投資しているわけなので、投資先の経営を信用できるかどうかということは、根本的な問題です」と、高野氏は述べた。そして、「また同時に、明確な資本政策を提示する企業は増えてきています。株主に対してもより具体的なリターンを示すようになっており、これは良い傾向です」と話した。

清水氏は、投資先への積極的なエンゲージメントは投資家の責務だとした。

「経営者と同じ方向を向いていることを強調して、敵対しないようにしつつも、役員会に手紙を書いたり、社外取締役に直接会いに行ったり、株主総会で質問したり、必要だと思われることは全てやります」と、清水氏は述べた。

「特定の問題については、たとえ意見が違っても、投資先との信頼関係は確保することが重要です」と清水氏は語った。また、清水氏は、10年、20年、30年先のことを考えることは上場企業の責任であるとした。

「ですから、上場して公的責任を負うだけのリソースやコストをかける用意があるかどうかを、常に投資先に問いかけるようにしています」と、清水氏は話した。

山田氏は、投資家にとってリスクになり得る時期尚早な M&A を避けるためにも、投資先と常に対話することの重要性を強調した。

「投資先と話し、社内での話し合いに役立ちそうな提案書を作り、海外の似たような事例を紹介したりなどしています。中規模事業者に特化しているのは、経営者との活発な対話がしやすい規模だからです」と、山田氏は述べた。

続いて辻野氏は、パネリストに ESG 投資に対する意見を求めた。

山田氏は、株価の形成において ESG の要素がますます重要になってきていることに触れ、「メインストリームになりつつあり、今後は ESG インデックスがどのように作られているか、注視していかなければなりません」と話した。

マラソン・アセット・マネジメントの高野氏は、ESG 報告書は単なるデータの寄せ集めになってはならないと指摘した。

「投資先のビジネスモデルに ESG 要素がどのように織り込まれているかが見て分かるようになっていなければなりません」と、高野氏は話した。

山田氏は、「ここ2、3年、アメリカの投資家は日本企業における ESG 要素の高まり、特に、ガバナンスの向上に関心を示すようになってきています」と話した。また、ESG 投資がメインストリームになることは、多くの企業にとって、リスクであると同時に成長の機会でもあるとした。

「変わりゆく政府の規制に、遅れずについていくことができるかどうかが鍵です。これができれば、すでに ESG 市場においてアドバンテージを持っているといえます。投資家が注意して見ておかなければならないのは、そういうところです」と、山田氏は語った。

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