February 25, 2019
「東京金融賞」創設、7社が受賞
ESG(環境、社会、ガバナンス)投資の普及や、都民の金融ニーズに応える商品やサービスの提供などで貢献が認められた7社が、新たに東京都の創設した「東京金融賞」を受賞した。
ESG 投資とは、業績だけでなく、ESG 分野での貢献度合いにより投資先を決めるやり方だ。また、ESG を意識した企業の企業価値は長期的に高まるとの考え方に基づき、株主の立場から、企業にさらなる ESG 関連の活動を促すことも、この投資の特徴だ。
東京を魅力的な国際金融センターにするため、東京都はこの賞を創設した。これは、都が2017年11月に公表した「国際金融都市・東京」構想の取り組みの一つでもある。
2月5日に行われた同賞の授賞式で、小池百合子都知事は、「世界は激動しています。その中で、東京が都市間競争で勝ち続けなければなりません。そして、わが国の成長をけん引していかなければなりません。そのためには、稼ぐ力をもっと強くしていなければなりません。その中核が金融です」と話した。そして、「東京を技術、人材、資金、情報が集まる国際金融都市にしたい」と述べた。
この賞には二つの部門があり、「ESG 投資」部門では4社が、「都民ニーズ解決」部門では3社が選ばれた。
ESG 投資部門で表彰されたのは、ニューバーガー・バーマン、ロベコ・ジャパン、SOMPO ホールディングス、三井住友トラスト・アセットマネジメントだ。
ニューヨークに本社があるニューバーガー・バーマンは、1940年代初頭から ESG 投資に関わり、長い歴史を持っている。この国際的なファンド運用会社は、投資先の ESG 活動に非常に積極的に関わっている。また Principles for Responsible Investment(PRI)など、業界のさまざまな団体と協力し、金融業界内で ESG 投資の認知度向上に多大な貢献をしてきた。
この国際的な金融関連大手の日本法人は2008年に設立され、日本人投資家への投資機会の提供、また ESG 投資に関する世界のトレンド情報を日本語で提供している。
ロベコ・ジャパンは、オランダの資産運用会社ロベコの日本法人で、後者は日本の金融グループ・オリックスの子会社だ。
このオランダの会社は長い間、ESG 投資に注力し、ESG の認知度向上に努めてきた。ロベコのサステナビリティ投資部門である ロベコ SAM は、ダウ・ジョーンズと共に「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・インデックス」を立ち上げ、株価がインデックスに含まれる企業の ESG 活動を評価している。
また、ロベコ SAMは独自に、企業の持続可能性に対する「ロベコ SAM サステナビリティアワード」を創設し、日本企業23社が同賞を受賞している。
保険の SOMPO ホールディングスは、ESG に関係するものを含むさまざまな金融商品を販売している。例えば、「天候インデックス保険」は、想定外の極端な気温、降水量やさまざまな気象で収穫が減少したり、有害な影響が出たりした場合に、主に東南アジアの農業従事者へ資金面での支援を行う。
他には、避難所の設置、災害時に住民に適切な形で避難警報を伝えるシステムの構築、避難者への非常食配布といった防災、減災に取り組む自治体に対する資金援助となる保険もある。
三井住友トラスト・アセットマネジメントは、さまざまな国際的な取り組みに積極的に参加し、ESG 投資を推進してきた。同社の今年の ESG 活動テーマは、気候変動問題、水資源・海洋汚染問題、ガバナンス改革の後押し、ESG 情報開示の推進だ。例えば、この日本の資産運用会社は、投資先の国際的な消費財メーカーに対して、水資源不足、水質汚染など脅威をもたらす問題への対応を求めている。
都民ニーズ解決部門の受賞者は、justInCase が1位、TORANOTEC が2位、グローリーが3位だった。ESG 投資部門の受賞4社には、順位は付けられなかった。
東京都は昨年7月と8月に、ESG 投資や金融サービスのニーズについて都民から意見を集め、9月から11月に応募企業を募った。95社からの申し込みがあり、そのうちの約半数は海外企業だった。
ESG 投資部門には、10カ国の40社から応募があり、都民ニーズ解決部門は、16カ国の55社だった。審査委員が11月から1月にかけて受賞者を選んだ。
審査委員長を務めた、金融情報システムセンター理事長の細溝清史氏は、「今年はもっと多くの企業に応募していただきたい」と述べた。