January 20, 2020

間口を広げて観光産業の成長を促進(D2C)

D2C

Rafting is one of the activities that await visitors in the town of Okutama in western Tokyo. | ©TSUNAGU JAPAN

外国人の社内記者や寄稿者が主に執筆した記事を5,000本以上掲載している tsunagu Japan には、ネオンの光があふれる都会の路地や自然豊かな田舎まで、日本列島のありとあらゆる場所を目指す海外からの旅行者への提案が数多く掲載されている。

「子どもの頃、海外に住んでいたのですが、そこで多くの外国人が日本の製品を使い、喜んでいるのを見てきました。その経験から、日本と世界をつなぐようなことをしたいと常々思っていました」と、D2C X の代表取締役代表社長である萩原良氏はジャパンタイムズに話した。

萩原氏は30歳のときに起業し、日本企業や自治体の情報を世界に発信するサイトやサービスを立ち上げた。その後、2018年12月にM&A(企業合併・買収)によってデジタルマーケティングを専門とする D2C に合流し、社名を D2C X に改めた。

「この変化によって、リソースも組織も強化することができました。元々4言語に対応していたサイトに、さらにベトナム語、韓国語、インドネシア語を追加することができました」と、萩原氏は述べた。さまざまな言語を母国語とする従業員も増えたという。

D2C X 取締役の中西恭大氏は、tsunagu Japan は外国人記者の視点を大事にしていると説明した。彼らが面白いと思うものは、彼らの母国からの旅行者にも魅力的に見えるかもしれず、それは必ずしも日本人が海外からの旅行者に薦めるものと同じとは限らないからだ。

「旅行者の出身国によって興味の対象は違うので、言語ごとに違った記事を掲載しています」と、中西氏は語った。

このため、多くの記事は日本語やその他の言語で書かれた記事の単なる翻訳ではない。読者層に合わせて作られた記事の方が、読後の行動につながりやすいと考えるからだ。

例えば、タイ人の記者が最近英語で執筆した九州に関する記事は、観光地を羅列するのではなく、福岡県、大分県、熊本県の自然、歴史的建造物、写真映えするスポットやグルメにフォーカスした内容になっている。

この記事は情報を詰めこみ過ぎずに写真を豊富に使って、記者自身が体験した3日間の旅行記といった形で時系列に構成されている。地図も一緒に掲載され、初めて九州を訪れる旅行者が計画を立てやすいよう、現実的な旅程の詳細が明示されている。

新潟県、山形県、秋田県について台湾の記者が書いた別の英文記事は、歴史的遺産や自然を紹介している。外国人記者や読者が、海外からの旅行者にあまり知られていない地域のどういったところに関心を持つのかということは、日本人読者にとっても興味深いかもしれない。

別の台湾の記者が中国語で書いた記事に、徳島県美馬市を取り上げたものがある。この記事では、藍染めなどの伝統工芸や特産品、散策すべき場所などが美しい写真とともに紹介されている。

「この記事は、台湾の読者に最も響くように書かれた記事なので、中国語のページだけに掲載されています」と、中西氏は話した。

東京の奥多摩で、日帰りで体験できるラフティングの記事は、都心から遠くへ足を伸ばす時間がない旅行者に最適かもしれない。東京の西部には、山や谷や川に囲まれた湖があるということに驚く読者も多いだろう。

記事の最後には、ラフティング体験の予約ページへのリンクが掲載されている。これは tsunagu Japan が今年注力しようとしている領域だ。

「私たちの目標は、規模的にも読者に与える影響力の点でも、インバウンドの観光市場においてトップのメディアプラットフォームになることです。それに加えて、ツアーや体験を販売する役割も担いたいと思っています」と、萩原氏は述べた。

現在、tsunagu Japan のサイトには毎月400万のアクセスがあり、ユニークユーザー数は190万人に上る。

「私たちは日本の地方の魅力を発信し、サイトのユーザーと、サービスや体験を提供している地元の人々や企業をつなげていくことができます」と、中西氏は語った。

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