January 21, 2019

「成功のチャンス、地方にあり」 実践者交流会2018にて行ったパネルディスカッション「里山里海✕起業」についてご紹介します。(2018年10月20日開催)

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Entrepreneurs hold a discussion at a symposium co-hosted by the Japan Times Satoyama Consortium in Jinsekikogen, Hiroshima Prefecture, on Oct. 20. | MAIKO MURAOKA

Japan Times Satoyama 推進コンソーシアムと中国地方知事会、広島県神石高原町は10月20日、21日、同町の神石高原ホテルにて、2日間にわたるイベントを開催した。

里山と里海を中心とした議題が並び、10月20日に行われた一つ目のセッションでは、里山や里海を生かした起業というテーマで議論が展開された。

NPO 法人 ETIC.の創設者であり代表理事の宮城治男氏がファシリテーターを務め、3人のパネリストが地域資源を効果的に利用した事業について語り合った。

フードハブ・プロジェクトの支配人の真鍋太一氏は数年前に徳島県神山町に移住し、食堂、パン屋、食品店の運営、加工品の開発や食育などの事業をスタートさせた。

「われわれのプロジェクトは、全て農業が基盤になっています」と真鍋氏は話した。そして、「事業を通して、地域と一緒に作り、一緒に食べるということを実践しています」とも。

フードハブ・プロジェクトをきっかけに、子供を含め28人の移住者が生まれ、そのうち3人が、高齢化の進むこの地域で新規就農者となった。

森山明能氏は、石川県の能登半島にある七尾市の地域振興を手がける御祓川のシニアコーディネーターを務める。同社は民間がまちづくりを担う好例だ。

御祓川のプロジェクトはどれも名前が面白い。そのうちの一つ、「能登の人事部」は、地域の中小企業の人事部の外注プラットフォームとなっている。

「うれし!たのし!島流し!」は、能登の地元民の生活を体験できる、数々のアクティビティを通して、観光と移住を推進するプロジェクトだ。このユニークな名称は、江戸時代に能登島が流刑の地だったことから付けられたものだ。

ミュウの代表取締役、渡部美佳氏は京都でイチゴのお菓子の専門店、メゾン・ド・フルージュを15年にわたり営んでいる。この店では、一年を通して多種多様なイチゴを使ったケーキやお菓子の数々が販売されている。

渡部氏は、岡山県西粟倉村に新しく工房と苺研究所をオープンさせた。

「私にとっては、フランチャイズして広げるよりも、深掘りする方が面白く感じられるんです。イチゴに特化することに時間をかけたことで、日本中のイチゴ農家とのつながりができ、研究機関と協働する機会にも恵まれました」と、渡部氏は述べた。

外部からの移住者として、地元の人々との関わり方について真鍋氏は、フードハブ・プロジェクトでは毎月1回新聞を発行し、地元紙の徳島新聞に折り込みで地域の約1,470世帯に届けているという。

「どう思われていようと、地元の方々が関心を持ってくださること自体が励みになります」と真鍋氏は話した。

40年ぶりに地元の酒を復活させたり、古くから伝わる小麦の種を使って、小麦の生産を再開させるなど、真鍋氏は地域を巻き込むプロジェクトを実践中だ。

一方、森山氏は、大学在学中は一時期離れたものの、その後は出身地である七尾に戻って事業を展開している。

地方への移住者や UIJ ターン者を支援する立場から森山氏は、「国土のあり方は、自治体の枠にとらわれるべきではありません。それは人々のすみかの連続そのものなのですから。人々が地方に住み続けられるように、また新しく地方に住むことができるように、多様な文化や環境を守るための取り組みが必要です」と森山氏は語った。

渡部氏は日本中のイチゴ農家を訪ねて回ったという。

「銘柄ごとにどころか、農家ごとに味が異なるんです。2年前にベルリンで開催されたフルーツ博に出展した際に、世界各国のさまざまなイチゴを試食したのですが、そのときに日本のイチゴは、世界ではまだまだ知られていないと感じました」と渡部氏は話した。

今後は日本産のイチゴを海外に向けても PR し、日本のイチゴ農家と世界とをつなぎたいと、渡部氏は抱負を述べた。

地域で新しい仕事を増やす方法の一つとして起業があり、それには地元のコミュニティからのサポートが必要であると述べ、宮城氏はこのセッションを締めくくった。

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