February 04, 2019

「地方からの若者の流出を止めるために」 実践者交流会2018にて行ったパネルディスカッション「里山里海✕教育」についてご紹介します。(2018年10月20日開催)

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Panelists hold a discussion on education and regional revitalization in a symposium co-hosted by the Japan Times Satoyama Consortium in Jinsekikogen, Hiroshima Prefecture, on Oct. 20. | SHINOBU YAMADA

Japan Times Satoyama 推進コンソーシアムと中国地方知事会、広島県神石高原町の共催で、里山をテーマとしたイベントが10月20日、21日に神石高原ホテルにて開催された。

1日目に行われた二つ目のパネルディスカッションでは、多様なステークホルダーと協力して社会事業をコーディネートする団体、RCF の代表である藤沢烈氏がファシリテーターを務め、3人のパネリストが地域振興と教育の役割についての考えを約200人の参加者と共有した。

ソシオデザインの地域再生コンサルタントである大西正泰氏は、徳島県上勝町の地域活性化の中心に、起業家教育を据える。

大西氏は、地元に高校があるということは地方のコミュニティにとって重要な財産だと考えている。

「高校に進学するために故郷を離れなければならない場合、将来的に故郷に戻ってくることが難しくなってしまい、地方の過疎化を食い止められなくなります」と大西氏は述べた。

大西氏によれば、地方の人々の間には、高い教育を受けた若者は地方を離れ、都会へ行ってしまうとの恐怖心が根強いという。

「その恐怖を捨てて、地域自体を学校化し、教師だけでなくコミュニティ全体が子供たちの教育に責任を持たなければなりません」と大西氏は話した。

また大西氏は、どこにいようと自分で事業を起こすことのできるスキルを身に付けるには、選択肢を与えられてばかりではなく、自らが正解を作り出すことを学ぶことが重要だと語った。

「少なくとも12年の学校生活を故郷で過ごすことができれば、地域への誇りと愛着が生まれます」と大西氏は述べた。

ジブンノオトの代表取締役でキャリア教育デザイナーの大野圭司氏は、山口県周防大島を拠点とし、地域資源を生かせる起業家精神を育むための、独自のキャリア教育プログラムを提供している。

「家庭の事情はそれぞればらばらでも、学校ではみんな平等に教育を受けられるんです」と大野氏は語った。

大野氏がプログラムを提供している東和中学校では、2年生の生徒はグループに分かれて4つの仮想企業を作り、地域資源を利用した商品やサービスを作って販売する。保護者や近隣の住民を集めてそれぞれの会社がプレゼンをした上で、彼らに一株あたり500円で株を売るという。

「これを7年間、毎年やっています。長く続ければ続けるほど、たくさんの人を巻き込むことができて、次第にコミュニティ全体を変えていくことができます」と大野氏は話した。

東京で働いていた大野氏が故郷の島に戻ってから15年近くになるが、13人いた中学の同級生のうち、今も島にいるのは3人だけだ。

「地域の中で新しいことに挑戦する楽しみを経験している今の子供たちにとって、起業というのが一つの選択肢になればいいなと思っています」と大野氏は述べた。

神石高原町の入江嘉則町長は、「誰もが挑戦できる環境を用意することが、地方自治体の役目だと思っています」と話した。

神石高原町は油木高校の学生グループによるナマズプロジェクトなど、さまざまな教育プロジェクトを支援している。地域住民の協力を得て、耕作放棄地に作られた池で養殖されたナマズは、調理され、地域のお祭りや、広島で行われたプロ野球の試合会場などで提供された。

また、神石高原町と慶応義塾大学 SFC 研究所との提携による「油木高校生がつくる神石高原町ドローンアカデミー」が昨年の秋、発足した。

「ドローンのプロジェクトで人が集まったとして、四六時中ドローンの話ばかりしているかというと、そうではなく、いろいろな話をすると思うんですよ。そういう会話の中で、人と人とがつながり、新しいアイデアが生まれてくるものだと思います」と、入江町長は語った。

ファシリテーターを務めた藤沢氏はセッションの締めくくりとして、新しいことに挑戦するために、地域にある資源をどう生かせるかということに人々が自ら気付き、考えることができる力を育む教育を提供していくことが重要だと述べた。

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