October 21, 2022

【リコー】環境保全と利益創出を同時実現、時代の変化をリードする会社へ

株式会社リコー
代表取締役 社長執行役員 CEO
山下良則
総合経営企画室長、ビジネスソリューションズ事業本部長、副社長執行役員を経て2017年4月より現職。英国や米国など海外勤務経験が豊富。 | The japan times

世界約200の国と地域で事業を展開するリコーグループは、「OAメーカーからの脱皮」と「デジタルサービスの会社への転換」に取り組む。陣頭指揮をとる株式会社リコー社長の山下良則氏は、事業活動を通じて「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に貢献し、「社員全員が世の中の変化を自らリードするという自覚を持つことが大事」と改革への意欲を語る。

Aerial photograph of Ricoh’s plant with installed solar panels | Ricoh.

リコーは、創業者の市村清氏が提唱した「三愛精神」を企業活動の原点に据える。SDGsについても同様で、「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」をうたうその精神に基づき、「事業を通じた社会課題解決」と、それを支える「経営基盤の強化」の2つの領域で7つの重要社会課題を特定し、17のESG目標を設定した。ESG目標を「5年先、10年先の財務を作る」(山下氏)という意味で「将来財務目標」と呼び、財務目標とともに経営目標に掲げる。実際にESG活動がリコー製品購入の決め手になることは特に欧州企業の間で増えており、日本でも先進的な取り組みが顧客への提案に役立ち、対話やエンゲージメントのきっかけになることもあるという。

サステナビリティ活動の歴史は長い。1976年に「環境推進室」を設立し、98年には環境保全と利益創出の同時実現を目指す「環境経営」を提唱。94年に循環型社会実現のためのコンセプト「コメットサークル」を打ち出し、現在までに複合機の再資源化率96%以上、埋め立て処分率4%以下を達成した。

山下氏は2017年に社長就任後、「三愛精神の実践を再加速してきた」。ステークホルダーへの非財務情報の開示や対話を重視するのはその1つ。就任20日後には、事業活動の電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的枠組み「RE100」に日本企業として初めて参加。当初は30年の再エネ率30%達成を掲げたが、21年3月に50%に引き上げた。職場やサプライチェーンでのダイバーシティを推進する国際的イニシアチブ「B4IG(Business for Inclusive Growth)」にも2019年、発足メンバーとしてアジアから唯一加盟し、デジタル格差問題の解消に取り組む。ESGに関する国際的ルール作りへ日本やアジアの意見を反映させようと、奔走してきた。

2036年の創業100年ビジョンは「‟はたらく”に歓びを」。デジタルサービスによって業務の効率化を図り、「働く人が創造的な仕事に集中し、歓びを感じるような社会の実現を支援したい」と意気込む。

その意味では、SDGs/ESGに関する取り組みも、社員に働き甲斐を感じてもらうために不可欠という。社内の調査では(回答率83%)、98%が自身の業務とSDGsはつながっていると回答。「社員全員が仕事に自信や幸福感を持てるような職場を作りたい」と山下氏。三愛精神を共有する社員が活躍する「世の中の変化をリードする会社」への変革はすぐそこだ。


Naonori Kimura
Industrial Growth platform Inc. (IGPI) Partner

ビジョナリーリーダーシップ:経営トップが壮大なビジョンや目標を立て、全員参加型で実行していく。当たり前のようだが非常に難しい経営の王道を、リコーは長期にわたり実践し続けています。大きな市場変化へ機敏に対応していく柔軟な組織能力、これらを束ねる強いリーダーシップこそがリコーの企業文化の根幹です。

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