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津波からの教訓を学ぶ、“復興ツーリズム”へ。

April 28, 2022

ライター:塚本二朗

<高田松原津波復興祈念公園>には津波伝承館があり、奇跡の一本松や震災遺構も保存されている。| PHOTOS: MAKOTO YOSHIDA

高田松原津波復興祈念公園 国営追悼・祈念施設

2019年にオープンした国立の追悼施設。公園、及び施設の設計は、建築家の内藤廣によるもの(Prec Institute Incとの共同設計)。
●岩手県陸前高田市気仙町字土手影180
Tel:0192-47-4455(いわてTSUNAMIメモリアル)
開館時間 9:00〜17:00(最終入館16:30)
年末年始休及び臨時休館日あり
入場:無料
https://takatamatsubara-park.com

真二つに折れたユースホステル、ひっくり返った交番。壁が黒く焼け焦げた校舎。それらは2011年3月11日に発生し、19,684人の犠牲者(3,784名の関連死含)と、2,523名の行方不明者を出した東日本大震災の津波の痕跡をもつ建物だ。震災の記憶をつなぎとめるために、こうした建物は「震災遺構」として保存・公開されているが、今、それらを巡る“復興ツーリズム”が注目されている。

国土交通省・東北整備局、自治体などが連携し、青森、岩手、福島、宮城の東北4県にまたがる302箇所(‘22年2月時点)の震災遺構・モニュメント・展示施設を「震災伝承施設」として認定。アクセスのしやすさや、語り部の有無などで分類され、「3.11伝承ロード」としてネットワーク化し、「実情と教訓を伝承する施設」として東日本大震災の記憶を伝えている。さらに、南三陸市(岩手県)の「南三陸ホテル観洋」のように、震災を経験したホテルのスタッフが、かつて被災した街をバスでめぐる「語り部バス」というツアーを行っているホテルもある。伝承施設を巡り、災害を目の当たりにした人々の話に耳を傾けることで、地震、津波の恐ろしさを目と耳で知ることができるのだ。

Inside what was Kadonowaki Elementary School’s gymnasium, several exhibits are testament to the force of the tsunami, such as this severely deformed firetruck. | COURTESY: ISHINOMAKI TSUNAMI RUINS

震災遺構門脇小学校

津波火災の被害にあった校舎の一部が見学できる。「みやぎ東日本大震災津波伝承館」も近接している。
門脇小学校の屋内運動場では、被災し大きく変形した消防車などが展示され、津波の威力を物語っている。
●宮城県石巻市門脇町4‐3‐15
Tel:0225-98-8630
開館時間 9:00~17:00(最終入館16:00まで)
月曜及び、年末年始休
入館料:600円
https://www.city.ishinomaki.lg.jp/ruins/index.html

宮城県石巻市の2つの小学校跡の「震災伝承施設」は教訓的だ。河口から4kmに位置する旧・大川小学校では、地震のあと、児童達は校庭に集められたが、具体的な避難場所は決められておらず、教師たちは判断に迷った。50分後に学校のそばの裏山ではなく高台に向けて避難を始めたがその矢先、津波が押し寄せ児童74人、教職員10人が犠牲となった。対して旧・門脇小学校は河口から800mほど立地だったが、平時から津波を想定して近接する日和山に避難するよう訓練していた。地震当日は訓練どおりに避難し、学校にいた児童と教職員は全員が助かった。この対照的な二つの事例は普段からの危機意識、訓練といった事前防災の重要性を教えてくれる。

戦争や自然災害などの支援活動で世界的に知られる建築家・坂茂。彼が設計した駅舎は鉄骨3階建て。屋根は、木造のフレームを白い膜が覆い、その下は展望フロアになっている。 | PHOTO: MINAMI NAKAWADA

Aerial view of Takata Matsubara Tsunami Reconstruction Memorial Park | PHOTO: CITY OF RIKUZENTAKATA

また、震災の復興、街づくりに、多くの有名建築家が関わっている点にも注目したい。建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞した伊東豊雄、SANAA(妹島和世+西沢立衛)、坂茂などの建築家が震災直後から被災者の拠り所となるコミュニティーのための施設や仮設住宅などに取り組んだ。その後も、岩手県陸前高田市の<高田松原津波復興祈念公園 国営追悼・祈念施設>を建築家・内藤廣らが手がけるなど、日本を代表する建築家によって伝承施設や駅、学校などの公共施設が復興のシンボルとしてつくられている。

日本は世界有数の地震国だ。内閣府の防災白書によると、2003年から2013年の間に世界中で発生したマグニチュード6.0以上の地震の18.5%は日本で起こっているという。先の大震災が引き起こした津波は人命のみならず東北の多くの街の建物、インフラも破壊した。今、復興の半ばではあるが、持続可能な社会のために必要な防災を念頭に置いた街づくりが進んでいる。“復興ツーリズム”は、震災遺構と復興のシンボルである様々な建築を見ることで、災害の怖さとその対応への理解を深めてくれ、またSDGsとも関連する防災を意識した街づくりへの取り組みを知ることもできる。新しい観光の一つとして東北の被災地を巡る旅を選んでみてはどうだろうか。

JR女川駅/女川温泉ゆぽっぽ

2015年開業。駅舎の設計は、建築家の坂茂。駅舎2階には、町営の日帰り温泉施設「女川温泉ゆぽっぽ」が併設されている。
●宮城県牡鹿郡女川町女川2‐3‐3
Tel:0225-50-2683(女川温泉ゆぽっぽ)
営業時間 9:00 ~ 21:00(最終入館20:30)
第3水曜休(第3水曜日が祝日の場合、翌日休館)
入浴料:500円
http://onagawa-yupoppo.com/

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