November 10, 2021

【ユーグレナ】栄養価の高い食品から環境に優しいバイオ燃料まで、ミドリムシの可能性

出雲充
株式会社ユーグレナ 代表

ジャパンタイムズESGコンソーシアムとSatoyama推進コンソーシアムが合併する形で今年6月に設立されたSustainable Japan Networkは、オンラインにてSustainable Japan Award 2021の授賞式を開催し、主にESGの取り組みや里山の資源の保全・持続可能な活用といった分野での企業や団体、自治体による注目すべき取り組みを評価した。

大賞は、栄養豊富な藻類であるユーグレナの研究開発、そしてヘルスケアやエネルギーなどへの活用を手がけるベンチャー企業、株式会社ユーグレナに贈られ、代表取締役社長の出雲充氏が受賞の喜びを語った。

学生時代に訪れたバングラデシュで栄養失調に苦しむ子ども達を目の当たりにしたことがきっかけで、栄養価の高い食材の研究を始めた出雲氏はユーグレナに出会い、2005年に起業。食品という形で販売し、多くの人の健康に資するだけでなく、2014年からユーグレナGENKIプログラムと称してバングラデシュの子ども達にユーグレナ入りクッキーを届け続けている。

また、使用済みの食用油とユーグレナ油脂から作られるバイオ燃料開発など、その事業はすべてSustainability First(サステナビリティ・ファースト)というフィロソフィーにもとづく。

「今年6月、100億円を投じて開発に10年をかけたバイオジェット燃料による初フライトが成功しました」と出雲氏。非産油国の日本で、二酸化炭素の排出量削減に貢献するバイオジェット燃料を作ることにかける熱意を示した。

近年は、ユーグレナの特有成分を利用したバイオマスプラスチックの研究開発を進めるコンソーシアムの設立や、サステナブルテック・ファームと呼ばれる循環型農業を目指す研究用農園の立ち上げも行っている。

また、上場企業として初めて、18歳以下の若者をCFO(Chief Future Officer)に任命し、未来を担う世代の意見を会社や社会に反映させる取り組みも行う。

資金調達の面では、「今年初めて海外の機関投資家向けの株式発行による公募増資を行いました」と述べた出雲氏だが、自社の国際的認知度が足りていない現実に直面したとも言う。

持続可能な方法で漁獲または養殖された海産物を認証する国際的機関、MSCとASCによる認証には、海藻の部門がなかった。ユーグレナ社の働きかけによりあらたに設置されたこの部門における初めての認証を、同社が培養する藻類であるユーグレナやクロレラが取得したのは2年前のことだが、この事実も世界では知られていないという。「日本のスタートアップ、技術を発信することの重要性を実感する中での受賞に励まされています」と出雲氏は語った。

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