April 26, 2024

Sustainable Japan Magazineがオススメする、日本の宿泊できる文化財。

ライター:和泉俊史

大洲城の天守は1888年に解体されたが、2004年に木造で復元された。江戸時代につくられた櫓は、天守の左手前にあるものを含め4つすべて現存し、国の重要文化財に指定されている。
© VMG HOTELS & UNIQUE VENUES

せっかく旅先で泊まるなら、歴史を感じる文化財の宿に宿泊してみたいもの。しかし、一口に文化財といっても様々なタイプがあるので、ここで日本の文化財制度について、少し解説してみたい。

日本では50年を経過した建物が文化財選定の対象となる。日本では文化財のうち重要なものを「重要文化財」、さらにその中から特に価値の高いものを「国宝」に指定して保護を図っている。国が主体的にその建造物を文化財に「指定」することで、建造物の保存修理や防災設備の設置などを、国の補助事業として行っているのだ。

ただ、日本では第二次大戦後の高度成長期の時代、急激な都市化により、日本全国で、特に近代以降(19世紀~)の建造物が次々と取り壊されていった。このことから、国レベルで重要なものを厳選して指定する制度のみでは、特に近代建築が失われていくスピードに、指定が追いついていないということが課題としてあり、対応を迫られていた。

その対策として1996年に文化財保護法が改正され、従来の文化財「指定」制度に加えて、文化財「登録」制度、いわゆる「登録有形文化財」が創設された。この制度は、より緩やかな規制のもとで貴重な建築に幅広く保護の網をかけることに重点が置かれている。建物の所有者が国(文化庁)に届出を行い、審査の後に文化財として登録され、国の指導・助言などを基本とする緩やかな保護措置が取られるのだ。この制度は、重要なものを厳選し強い規制と手厚い保護を行う、従来の指定制度を補完したものといえるだろう。

登録有形文化財には、2024年4月現在、約1万3000件の建造物が登録されているが、そのうち約100件ほどには実際に宿泊することができる。そこに実際に泊まってみて、文化財の空間と、そこで過ごす時間を、ぜひ体験して欲しい。

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