January 02, 2019

お城にバラ、福山復興のシンボル(広島県福山市)

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Fukuyama Mayor Naoki Edahiro in front of a painting of roses. | MAIKO MURAOKA

人口約47万人の福山市は、広島県で2番目の規模の都市である。中国山地を背に、太陽の降り注ぐ瀬戸内海の沿岸部に位置し、古代から、海路、陸路ともに交通の要として栄えてきた。

山間部では、福山市、農地・森林所有者、地元のグループ、NPO、企業、大学、その他の地域活動団体などが協力して、里山や農村部を再生する活動が行なわれている。

市街地や工業地帯は、鉄や、電子機械、製造機械の製造地として知られている。「福山はグラスビーズやデニム素材の主要な製造地でもあるんです」と、光沢のある濃紺のデニムスーツに身を包み、デニムの残り生地で作られたエレガントなバラのコサージュを胸に付けた枝広直幹福山市長はジャパンタイムズとのインタビューで語った。

福山市の中心部、山陽新幹線が行きかう福山駅のそばには、もとは1622年に建てられた福山城がある。

天守閣を含む福山城の一部は、1945年の広島市への原爆投下の2日後の福山空襲で焼けおちた。

焼失した福山城は、市制50周年の年である1966年に再建され、再び福山市のシンボルとなった。

「新幹線にこんなに近く、お城と新幹線を一緒に写真に収めることができるのは、日本中でここだけなんですよ」と、枝広市長は話した。

枝広市長によると、400年前の人々がとんど(わらに火をともして祝うこと)で福山城の築城を祝ったのと同じ方法で、福山市は築城400年の祝賀を計画しているという。

バラもまた、福山にとって重要で、歴史的に意味があるものだ。市制100周年だった2016年までに、100万本のバラが市内に植えられた。

福山のバラには語られる物語もある。1945年に福山城を焼失させた空襲は、同じく福山市の約80%を焼き払ったのだ。

「戦後の復興のさなか、1956年の春に、荒廃した土地をよみがえらせ、人々の心に安らぎを取り戻したいという願いを込めて、1,000本のバラの苗を植えたのです」と、枝広市長は語った。

これが福山市のばら公園の始まりで、今ではサッカー場2つ分より少し大きい15,000平方メートルの土地に280種、約5,500本のバラが植えられている。福山市では、福山市内外からの申し込みが可能な、バラオーナー制度を提供している。名前入りのプレートがついた自分のバラを所有できるという制度で、毎年5月と10月のバラの切り取りをはじめとする、さまざまな行事への招待を受けることができる。

市内にある100万本のバラのうち、残りはどこにあるのだろうか? 「福山市では、ばら公園に行かなくてもバラを楽しめます。福山市内のさまざまな場所に植えられているんですよ」と、枝広市長は話した。

実際に、福山駅から市役所に向かう短い道中にも、道端やバスターミナル、建物の前などに春と秋にはバラが咲き誇る。これらのバラは、地域住民が手入れをしている。「さまざまな年代の市民がバラを通じて交流しています。さらに、バラオーナー制度のおかげで、市外からも人が来てくれます」と、枝広市長は語った。2024年には、第20回世界バラ会議が福山市で開催される。

福山市の沿岸部には、今年、文化庁によって日本遺産の認定を受けた鞆の浦という、絵のように美しい港町がある。鞆の浦は同時に、重要伝統的建造物群保存地区であり、ユネスコの世界記憶遺産にも登録されている。これら3つの認定を受けているのは日本中で鞆の浦だけだ。

「鞆の浦には海外から年間36,000人の観光客が訪れます。郷愁あふれる街並み、歴史ある建物、地元のおっとりとした堅実な暮らしぶりが見られる風景と同時に、古い街並みを背にクルーズ船が通り過ぎる現代的な美しさもあって、観光目的地として、まだ成長の余地があります」と枝広市長は話した。そして、「地元の資源を最大限に活用することが、地域経済を再生しながら環境を守る方法なんです」とも述べた。

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