March 13, 2020

海辺の町、船員やサイクリストの市場を開拓する(尾道市)

City Of Onomichi

A pair of cyclists take a break near the Tatara Bridge on the Shimanami Kaido expressway in Onomichi, Hiroshima Prefecture. | CITY OF ONOMICHI

尾道市の平谷祐宏市長は、1月に開庁した市役所新庁舎の市長室で行われたジャパンタイムズとのインタビューで、さらなる観光客誘致を目的とした市の最近の取り組みについて話をしてくれた。

これらの取り組みは、瀬戸内海を望む港の開港850周年を記念する、広島県南東部に位置するまちで行われている。

この新庁舎は、大型船の建造技術と資材を用いて建築された。造船業の集積地という尾道の強みを生かし、建設資材のいくつかは海上から輸送され、建物の一部は造船と同じ技法で建てられた。

歴史的に、尾道市は海運業の成長と共に繁栄してきた。しかし、平谷市長は、市の持続可能な発展のためには、尾道を人々が訪れたいと思う港町に変えていくことが極めて重要だと話した。

昨年、尾道市は中南米などから航行してきた海外のスーパーヨットを受け入れた。これら大型高級クルーザーの世界的な人気拡大に伴い、スーパーヨットが寄港地にもたらす潜在的経済効果が地方活性化の有効手段として、国内の他の港町からも注目を集めている。

「尾道市を訪れる、こういった外国人訪問客をより多く受け入ることができるよう、港湾地域の環境を向上したいと考えています」と、平谷市長は語った。

今年は7月2日に、イギリスの企業が運航する大型豪華客船カレドニアン・スカイが、瀬戸内しまなみ地域にアメリカ人サイクリスト約100人を運んでくる予定だ。カレド二アン・スカイはまず、尾道市の真向かいに位置する、四国地方にある愛媛県今治市で乗客を下船させる。その後、サイクリストたちは今治側から出発し、瀬戸内海上で同市と尾道を結ぶ「瀬戸内しまなみ海道」を自転車で渡る。

カレドニアン・スカイは尾道港に停泊してサイクリストを待ち、サイクリングコースを完走した後に尾道で自由時間を過ごした彼らを乗船させる。平谷市長はこれらのサイクリストの多くが尾道を再訪し、常連観光客になってくれることを期待している。

「瀬戸内しまなみ海道」は全長約60キロにおよぶ景観の良い道路で、ナショナルサイクルルートの一つとして、昨年政府の指定を受けた。滋賀県にある「ビワイチ」と、茨城県の「つくば霞ヶ浦りんりんロード」も同様の指定を受けている。

「海辺の景色を楽しめるサイクリングコースは他にもたくさんありますが、海に向かって自転車を走らせているような感覚が味わえる、しまなみ海道のようなコースはそうありません。貴重な体験になります」と、平谷市長は述べた。

二年ごとに実施される国際サイクリングイベント「サイクリングしまなみ」の2020年大会が10月25日にしまなみ海道で開催される。本大会では参加者約3,500人分の走行スペースを確保するため、しまなみ海道の自転車専用レーンに加え、自動車専用有料道路も使用される。さらに、さまざまな世代に大会の魅力をアピールするため、電動自転車の使用も歓迎している。

しかし、国内外からの参加者増加により、尾道市は宿泊施設の不足という新たな問題にも直面している。この問題を解決するだけでなく、インバウンド旅行者に伝統的な建築物の、家庭的で落ち着いた雰囲気を提供するために、「瀬戸田プロジェクト」という伝統的な木造数寄屋造りの古民家をホテルに改装、改築する取り組みが進行中だ。瀬戸田は、尾道市の生口島(いくちじま)に位置する町だ。

「古民家は元々、海運業で成功を収めた豪商から歴史的価値のある建物として市に寄附されたものです」と、平谷市長は説明した。

瀬戸田プロジェクトのコンセプトは、町全体を多機能ホテルに変貌させることだ。町の商店組合は市の支援を受けながら、地元商店街の空き店舗に新しいテナントを入れ、地域の活性化を図るといった独自の取り組みを行っている。

「地域活性化に古民家を活用することは、前所有者の願いでした。つまり、本プロジェクトはその願いを実現する最善の方法なのです」と、平谷市長は語った。

Subscribe to our newsletter

You can unsubscribe at any time.

PREMIUM MEMBERSHIPS

1-month plan or Annual plan 20% off!

Premium membership allows members to Advance registration for seminars and events.
And Unlimited access to Japanese versions of articles.

CHOOSE YOUR PLAN

Subscribe to our newsletter