February 06, 2023

【CCJA】今こそ、草の根女性リーダーを見出すべき時

社会にポジティブな影響を与える女性を評価することの重要性について語るフィッシュ厚子氏 | Megumi Matsuda

「チャンピオン・オブ・チェンジ日本大賞(CCJA)」は喫緊の社会課題解決に向けた活動に取り組む女性リーダーを讃えるべく、米国ボストン在住の日本出身フィランソロピスト、厚子・東光・フィッシュさんにより2017年に創設された。

「日本には社会に直接的な良い影響をもたらすという崇高な目標を持つ女性が大勢いますが、その多くは認知されずにいます。私はそうした女性たちに光をあてることで、彼女たちを応援したいのです」とジャパンタイムズとの最近のインタビューで、フィッシュさんは話した。

米国と日本の異文化コンサルタントとして長年に渡り、より良好で強固な日米関係の構築に尽力した後、フィッシュさんは発展途上国の公衆衛生推進に力を注ぐボストンの非営利組織を運営していたある友人から仕事を手伝ってほしいと頼まれた。

2017年に「The Champion of Change Japan Award」を設立|Megumi Matsuda

ボストンの病院で小児心臓外科医を務めていたその友人がその組織のためにアフリカで働くことを決意した理由は、(アフリカでは公衆衛生の向上で)1日に数百人の(子供の)命を救うことができるが、ボストンで(医師の)自分が救えるのは数十人程度だと説明した時、フィッシュさんは驚くと同時に感銘を受けた。「その時、変化を起こすためには自分にできる最大限の努力をするという姿勢を学びました。それと同時に、単に手を差し伸べるのよりも、他者の立場に立ちつつ、彼らの自立を支援することが重要なのだと気付きました」とフィッシュさんは話した。

2000年に、フィッシュさんはアジア女性の健康と自立についての講演依頼を受けた理事長と共に日本を訪れる機会を得た。数百名の参加者がいる中、質疑応答の時間に1人の日本人女性が挙手し、こう言った。「日本は平和で豊かで清潔です。教育水準は高い。なのに、女性の地位は低いままです。それは何故ですか?」。その時、フィッシュさんは何かが間違っていると気付いた。「日本を20年ほど離れていましたが、その間、日本社会はほとんど変わっていませんでした。何かしなくてはと思いました」と、フィッシュさんは話した。

ボストンに帰国した後、フィッシュさんは日本の女性にリーダーシップ研修を提供するという形で、女性によるポジティブな社会変革を支援するプログラム 「Japanese Women’s Leadership Initiative(JWLI)」を立ち上げた。JWLI設立から約10年後、日本の女性リーダーを讃え・応援する「チャンピオン・オブ・チェンジ日本大賞」が創設された。

CCJAは今年で創設から6回目を迎えるが、フィッシュさんは多方面で社会課題が増大していると述べた。「人々はかつて、日本社会を“一億総中流”と呼びました。しかし、現在は多くの世帯が中流階級から脱落してしまったようだし、収入格差も広がっています」とフィッシュさんは話した。フィッシュさんはさらに、今こそ社会は他者を支援している女性を認め称賛すべきなのにそれをしていないと述べた。多様性が発展における最も重要な要素の1つと見なされる時代において、これは社会全体の落ち度だ。

Megumi Matsuda

フィッシュさんは、現状を変えるには学ぶ意欲を取り戻すことが鍵だと話した。「戦後期の日本人は外の世界に学ぶことに熱心でした。しかし、その結果に満足してしまい、学ぶ意欲を失ったのです」とフィッシュさんは指摘する。「人は、”違い”を見せつけられると劣等感を感じてしまうことがあります。しかし、違いの中からのみ、私たちは社会変革につながる新しい何かを見つけることができます。だからこそ、多様性が非常に重要なのです。男性の輪の中にどう女性を入れてあげるかという考え方は時代遅れです。多様性とは違いを受け入れ、違いから学び、多様な人々と共に成長することなのです。」

CCJA受賞者の多くは多様性を推進することにより、誰もがより豊かで快適に過ごせる社会の実現に尽力している女性リーダーたちだ。2019年度大賞受賞者の藤原久美子さんは、(障害女性が遭遇する)複合差別の解決を目指す「DPI女性障害者ネットワーク」の代表だ。

藤原さん自身が視覚障害者として、そうした差別の経験者であり、フィッシュさんは、自分と同じ経験に苦しむ人を出したくないとの思いから行動を起こした藤原さんの勇気とパワーを讃えた。2021年の大賞受賞者・牧野友香子さんは聴覚障害児の親にカウンセリングサービスを提供すると共に、多様性の推進および理解向上を目指し学校・企業研修を行う会社「デフサポ(Defsapo)」を経営している。

今年もCCJAを通し、フィッシュさんは社会貢献に取り組む女性たちと出会うのを楽しみにしている。「人類が様々な危機に直面しているこの試練の時期に、社会の利益のために行動できる草の根リーダーを積極的に応援・支援していきたいと思っています」とフィッシュさんは話した。CCJAは7月31日まで本年度の推薦応募を受け付けている。

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