April 10, 2023

「国際社会経済研究所(IISE)は知の共創で社会課題の解決をめざす」

Kumi Fujisawa, chairperson of the NEC group’s Institute for International Socio-Economic Studies | IISE

世界情勢が不確実性を増し複雑化する社会課題を解決するために、新しい考えや革新的な解決策の重要性はますます高まっている。

そうした状況のなか、NECグループの独立シンクタンクの国際社会経済研究所(IISE)は2月10日、「知の共創で導く、新たな市場ビジョンと経済安全保障」と題するフォーラムを開催した。2022年にIISEが新体制で発足して以来初めてとなるこのフォーラムでは、世界が直面する課題にどのように向き合っていくべきかが示された。

「私達はソートリーダーシップ(Thought Leadership)活動を牽引する役割を担います」IISE理事長の藤沢久美は冒頭のあいさつの中でこう述べた。特定の分野で深い知見を持つ専門家が新たな思考や構想を示し、周囲と議論を交わしながら社会課題解決のための道筋へと導いていくソートリーダーシップ。IISEは生活者のミクロの視点から大きなマクロの視点まで幅広い視野に立って課題を探索していくと藤沢は話す。

「その未来に共感する仲間となる皆様と一緒に、新たな社会活動を創造し、未来の社会に新たなフレームワークを実装する活動を進めます」

「世界知で、未来を照らす」 をミッションに掲げるIISEは、夜空の星が古代の旅人の道標となったように、「世界の課題、人々の知恵、磨き上げられた技術を星座のようにつなぎ合わせ、道標として皆様にご提示したい。そして、皆様と一緒に未来をつくる歩みを進めていきたい」と藤沢は続けた。

その後フォーラムの主題に関わる「経済安全保障」について、「かけがえのない協力関係:日米関係と自由で開かれたインド太平洋の未来」と題し、戦略国際問題研究所の上級顧問兼ジャパン・チェアであるクリストファー・ジョンストンが基調講演を行った。

その中でジョンストンは次のように話した。過去2年間でロシアのウクライナ侵攻、北朝鮮の弾道ミサイル発射、中国の台湾周辺における軍事演習により地政学的なリスクが高まりつつあるが、これにより米国と日本を含む同盟国との協力関係がより重要になっている。台湾をめぐる中国との衝突の可能性は否定できないが、経済的・軍事的な抑止力が働けば衝突を避けることは可能である。そして、そのような抑止力を効果的にするために米国は、特に半導体の分野で国内生産能力を高め、防衛や経済安全保障にとって必要不可欠なサプライチェーンを強化し、中国へ重要な技術を流出させない政策を採っている。

「日米両政府やその同盟国にとって重要なことは、我々は一国だけでは経済安全保障を確保できないということだ」とジョンストンは述べた。「中国への抑止力と経済的な相互依存の均衡点を探らなければいけない。これは我々にとって難しいことだが、この数年で進めていかなければいけない。」ジョンストンはさらに続けて、現在の同盟関係は今までで最も強固なものであると語り、この先の困難に立ち向かうことに対して前向きな見通しを示した。

フォーラムではその後、4人のエコノミストによる世界経済の見通しに関するセッションが行われた。この中で、米国のインフレはピークを越えつつあること、欧州経済は当初の予想ほど悪化していないこと、日本経済は好調な設備投資により底堅いことが示された。

フォーラムの後半ではブレイクアウトセッションが設けられ、環境問題、グローバルヘルス、スマートシティ、グリーントランスフォメーション等のトピックについてディスカッションが行われた。

IISEは2022年4月に体制強化をしてから、7つのテーマに沿ってソートリーダーシップ活動を推進してきた。その結果、環境分野では「潜在カーボンクレジット」を取引するための市場を創設することを2月6日に発表している。慶應義塾大学との産学連携を通じ、防災や減災による将来の二酸化炭素(CO2)抑制量を算出し、金融商品化することで市場取引を可能にするものだ。

さらに1月には経営者の視点を都市経営に活用する「パーパス都市経営」のコンセプトを書籍により提案し、明確なパーパスや分析データを用いた都市経営の必要性を説いている。

IISEの今後の活動については、理事長の藤沢は米国、英国、ASEAN諸国などの海外のシンクタンクと連携をし、経済安全保障について共同研究を行うことを計画しているという。

「大切にしたいと思っているのは『世界』という観点です。世界の人達と協働しながら、世界の人達の知恵や技術を共有し、新しい世界の市場を作りたい」とフォーラムに先立って行われたインタビューの中で藤沢は語った。

具体的には、行政DX(デジタルトランスフォーメーション)や個人認証のための生体認証ß技術といったNECの最先端技術を活用していきたいという。

「NECは社会課題の解決に活用できる多くの技術を持っている。それをNECだけではなく、いろいろな方々が技術を使用することで課題を解決しビジネスにできるようなコーディネーションができたらと考えている」と藤沢は話した。

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