May 28, 2019
脱炭素化に向けた取り組みを進める東京都
東京オリンピック・パラリンピックに向け、東京都は「東京ゼロカーボン4デイズ in 2020」に取り組んでいる。これは、両イベントの開会式・閉会式の日に都内で排出されると見込まれる二酸化炭素と同等量をオフセット(埋め合わせる、相殺する)しようという取組だ。
東京都は、昨年の7月24日―オリンピックの開会式からちょうど2年前にあたる日―に始まったこの取り組みで72万トンという目標を達成できるよう、都のキャップ・アンド・トレード制度の対象である大規模事業所の所有者などに対して、カーボンクレジットの寄付を呼びかけている。
都によると、この目標は1日あたりの排出量18万トンという2015年の推計に基づくものだ。
この制度の大規模事業所とは都によれば、原油換算で年間に1,500キロリットル以上のエネルギーを3年続けて消費する事業所と定義されている。これらの事業所には、オフィスビル、商業施設、ホテル、大学や病院などが含まれる。
この取り組みは、2017年10月に小池百合子東京都知事がパリへ出張し、気候変動に取組む世界の大都市のネットワークである C40 Cities Climate Leadership Group のミーティングに参加した際に発表したものだ。
知事は2017年12月に東京都議会の定例会で、「『ゼロ・カーボンデイ』を実現できることで、CO2 を排出しないゼロエミッション都市を官民一体で目指す東京の姿を、世界に強く印象付けていきます」と決意を述べた。
東京2020大会のホストシティとして東京都は、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が目指している「東京2020大会のカーボンオフセット」への協力も呼びかけている。都によれば、東京ゼロカーボン4デイズへ寄付されたクレジットは、この大会オフセットへも振り分けられるという。
2018年6月に発表された持続可能性に関する計画で、組織委員会は293万トンの CO2 が東京2020大会で排出されると見込み、この数字には建設段階からの158万トンも含まれる。この計画によれば、この数字は、2012年のロンドン大会(およそ345万トン)、2016年のリオ大会(およそ365万トン)のフットプリントよりも少ないものだ。
小池知事は、東京都の取り組みが持続可能なオリンピックを実現するための動きの一つになることを願っている。
知事は都の取り組みがスタートする直前の昨年7月の記者会見で、「事業者の皆さんに、東京2020大会に関連するカーボンオフセットを応援していただくことを、大会開催に向けたムーブメントの一つとして進めていきたいと考えています」と述べた。
東京都はパリも含めた将来のホストシティに対して、こうしたカーボンオフセットの取り組みを引き継いでいく考えだ。
今回の取り組みは、「ゼロエミッション東京」と呼ばれる、脱炭素化に向けた東京都の取り組みの一部だ。2016年3月に公表された東京都環境基本計画で、2030年までに、2000年比で30パーセントの温室効果ガス削減を目指している。
東京都は2010年4月に、都市として世界で初めて、大規模事業所に CO2 排出量の削減を義務付けるキャップ・アンド・トレード制度を導入した。
都によれば、この取り組みでカバーされる施設から排出されるCO2は、都内の全産業・商業セクターから排出される量の約40パーセントを占めているという。
都のキャップ・アンド・トレード制度についての詳細は、http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/en/climate/cap_and_trade/index.html を参照のこと。