January 22, 2024

ビーロット、不動産リノベーションとイノベーションの旗手に

Maiko Muraoka Contributing writer
Translator: Tomoko Kaichi

ビーロットの代表取締役会長・宮内誠氏 | Haruo Motohashi

不動産の投資開発、コンサルティング、マネジメントを包括的に手掛ける株式会社ビーロットは創業から15年、上場から9年が経過した。大企業を顧客に持つ巨大プレーヤーと、個人やスモールビジネスを対象とする小規模プレーヤーの二極化が進む業界において、同社はまだ比較的若い企業だ。

ビーロットは、富裕層や中小不動産業者・企業を対象に、小規模から中規模の投資物件を扱う独自のポジションを確立した。代表取締役会長の宮内誠氏は「(物件は)場所も用途も違えば価格帯も1億円から30億円(70万~2100万ドル)までと幅広い」と話す。「物件の売買と管理だけでなく、投資用不動産をお探しの方のエージェントとして不動産に関するあらゆる業務を行っている」。

ビーロットがユニークなのは、その顧客層だけではない。日本の建物の寿命は比較的短く、特に都市部において顕著な傾向がある。これは、新しいものほど良いという考え方と、好景気だった時代のスクラップ・アンド・ビルドの精神がいまも根強いことと関係があるようだ。それに対し、同社は「(例えば)1980年に竣工した建物は古いとみなされ、取り壊されるケースがほとんどだ。それをリノベーションして価値を高めるにはどうすればよいかを考えている」という。

建物の解体と新築には多くのエネルギーと資材が必要だ。しかし、古いとされる建物も使用可能な資源であり、最新技術を使って環境負荷を軽減し、持続可能性の改善を図ることもできる。「省エネエアコン、断熱材やソーラーパネルなどの建材を古い建物に設置する方が、取り壊して建て替えるよりも持続可能性がある」と宮内氏は話す。

ビーロットが開発し、海外顧客に売却した京都のゲストハウス | ビーロット

テナントや入居者にとっても、この方がメリットがある。「例えばテナント20社を収容できるビルで4部屋しか入っていなければ、従来なら4社に退去を求めて取り壊すことになる」。しかし、ビーロットはビルの不人気を築年数のせいにはしない。既存のテナントに営業を続けてもらいながら、新しいテナントを集めるためにビルの改修工事を検討する。

構造自体が強いか、もしくは適切に補強できるのであれば、建物を残す方が理にかなっている。ビーロットが所有する約60棟の建物のうち、新築は1割程度にすぎない。同社は中核メンバーに老朽建物の改修経験が豊富な従業員を揃えており、宮内氏は手を加えることでテナントの快適さと満足度を高め、エネルギー効率向上によりコストも削減することで新規テナントを誘致し、入居者も増やせると自信をみせる。

顧客ニーズの変化に応じ、新サービスも提供する。「新型コロナウイルスのパンデミックの期間には、家庭用高速インターネット、防音仕様、安全な荷物預かりサービスの需要が増加した」。自社所有物件でさまざまな第三者サービスを試し、顧客に代わって管理する物件用に最適と思われるサービスの提案も行っている。

太陽光発電施設も茨城県内に2カ所設置した。宮内氏はその狙いを「電気代の削減や、空き地の活用、二酸化炭素排出量の削減といった太陽光発電の社会的意義に加え、ソーラーパネル表面が汚れると発電量が落ちること、災害時にどのような対策や手続きが必要かなど、実際にやってみなければ分からないことを学べる」と説明する。

ビーロットの不動産とサービスは、国内に限らず海外の顧客からも評価されている。同社は「約10年前にシンガポールの顧客に数十億円の不動産を売却した」。宮内氏によると、海外顧客との取引はそれが初めてだったが、それ以来、中国、台湾、香港、韓国など幅広い国や地域の顧客にサービスを提供しているということだ。

社内には英語を流暢に操る従業員がおり、アメリカに3年半住んだ経験を持つ宮内氏もそのひとり。中国語圏や韓国語圏出身者もいる。「不動産業界はかなりドメスティック(国内的)で、各国特有の商習慣や法律も多いためコミュニケーションが何より重要だ」と宮内氏。「同時に、不動産に関するあらゆるニーズに応えるサービスをワンストップで提供し、お客さまとの長期的な関係作りを大事にしたい」と抱負を語った。


ビーロットは、持続可能社会の実現に向けた日本の取り組みをジャパンタイムズと共同で発信する企業グループ「Sustainable Japan Network」の会員です。ネットワークへの参加や活動詳細はウェブサイト(https://sustainable.japantimes.com/sjnetwork-jp)をご覧ください。

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