January 09, 2024

気候変動への取り組みで、世界の都市を牽引

Yuriko Koike
Governor of Tokyo

洪水や森林火災などの災害が頻発し、気候変動の影響が現実のものとなっている今、世界中で危機感が共有されています。気候危機を克服するために、もはや一刻の猶予もなく、市民を守る最前線に立つ都市の役割が極めて重要です。

東京都は、1400万人の人口を抱える、エネルギー・資源の大消費地です。そのCO2排出量は、オーストリアやギリシャ等の国ひとつ分に相当します。都は、世界の大都市の責務として、1.5℃目標を追求し、2030年カーボンハーフ、2050年ゼロエミッション東京の実現に向けた取組を加速しています。

東京都のCO2排出量の7割超は、オフィスビルや住宅などの建物に由来しています。建物からの排出を減らすため、省エネルギー性能の向上や再生可能エネルギーの実装を加速しています。

東京都は、2010年に世界初となる都市型キャップ&トレード制度(総量削減義務と排出量取引制度)を開始し、最新の2021年度実績では、削減義務率27%に対して、約33%削減しています。今後、対象事業所の削減義務率を大幅に引き上げるとともに、再生可能エネルギーの利用を一層促していきます。

2025年4月からは、新築住宅等を供給する事業者に太陽光発電設備の設置を義務付ける条例が施行されます。これから建てられる住宅は、2050年時点で全体の約7割を占めるため、新築時点での環境性能確保が極めて重要です。現在の太陽光発電の搭載率は、設置に適した屋根の約4%と推計されており、今後の拡大に向けて大きなポテンシャルがあります。2030年までに、現在の3倍となる200万kW以上の太陽光発電導入を目指していきます。

また、日本で生まれた技術であるペロブスカイト太陽電池は、薄くて軽く、フレキシブルという特徴から、ビルの壁面や平らではない場所への活用など、設置場所の拡大が期待できます。現在、都は、開発事業者と連携し、都有施設を活用しての検証を進めています。東京都は、こうした新技術の社会実装をこれからも支援していきます。

このような目標設定や意欲的な政策が評価され、東京都は2021年から3年連続でCDP シティ A リスト(最高評価)自治体に選定されています。1,100以上の自治体が参加し、世界的に大きな影響力を持つ環境プラットフォームであるCDPで最高評価を受け続けていることは、東京都の気候変動対策がトップレベルであり、また世界の都市に対しリーダーシップを発揮することが期待されている証です。

昨年12月の第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)で、私は世界の都市を代表して首脳級会議に参加し、また様々な会合で都市の役割向上を訴えました。1.5℃目標達成に向け、「団結」「行動」「実現」の機運がかつてなく高まっています。

東京都はこれからも、都民、事業者、関係者の皆様と協力しながら、世界や日本をリードする都市として、持続可能な社会の実現に向けて行動を加速していきます。

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