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サントリー:リサイクルにおける新たな展望

July 08, 2019

Takeshi Niinami, president and CEO of Suntory Holdings Ltd., talks about the company’s strategy on PET bottles in an interview with The Japan Times in Tokyo on May 30. | YOSHIAKI MIURA

日本では、ペット(PET、ポリエチレンテレフタレート)ボトルの大半は使用後に回収され、リサイクルされている。PET ボトルリサイクル推進協議会によると、2017年度の日本のペットボトル回収率は92.2パーセント、リサイクル率は84.8パーセントだった。

同協議会によると、これとは対照的に、ヨーロッパ全体のペットボトルのリサイクル率は41.8%、さらにアメリカは20.9%だった。

日本はそうした状況にあるが、サントリーホールディングスはこのほど、さらにより高く、具体的な目標を発表した。それは、2030年までに、同社の飲料製品で使用するペットボトルの全てを100パーセント、再生 PET 樹脂・植物由来 PET 樹脂製の容器に切り替えるというものだ。

「PET 樹脂の大口需要者として、わが社は PET 樹脂の製造、使用とリサイクルの向上において、世界をリードしていかなければなりません」と、サントリーホールディングスの代表取締役社長、新浪剛史氏は語った。

サントリーによると、同社が国内外で使用するプラスチックの99パーセントは飲料製品用だ。そのプラスチックの約80パーセントは、PET 樹脂を原料としている。

サントリーは、自然と資源を次世代へ引き継ぐための国際的環境保全および教育活動に従事している。プラスチックごみが大きな問題として取り沙汰される昨今、PET 樹脂のリサイクルという課題に取り組むことは、同社にとって当然の選択だった。

プラスチックは当初から本質的に有害なものとされてきたわけではない。プラスチックは食品衛生、携帯性、包装の近代化に貢献してきたが、その素材が環境に与える負荷はより明白になってきている。

サントリーは、プラスチックを完全に排除するよりも、有効活用する方が良いと考えている。だがその場合、社会がより賢くプラスチックを活用、リサイクルするにはどうすればよいのか?

それは、「単なるリサイクルではなく、CO2 の排出を低減するリサイクル」だと同社は考えている。日本はすでに高いリサイクル率を達成しているが、実際のところ、回収された使用済みペットボトルの大半が、ペットボトル以外の製品にリサイクルされていることは周知されていない。

PET ボトルリサイクル推進協議会によると、2017年に、ペットボトルの製造に使用された PET 樹脂の総量は約70万トン。しかしながら、再生ペットボトルの製造における使用量は、その約10パーセントに当たる61,300トンのみにとどまった。

ペットボトルをリサイクルして新たなペットボトルに再生する「ボトル to ボトル」は、技術的難度が高い。だが、そのリサイクルの新技術が開発されなければ、従来の PET 樹脂の主原料である石油の搾取は今後も続くだろう。サントリーが力を注ぐのが、この分野の取り組みだ。

サントリー独自の「2R+B」(Reduce と Recycle+Bio)戦略は、ペットボトルの開発において、樹脂使用量の削減と再生素材の使用により、可能な範囲で石油由来原料を再生可能原料で代替していくという考え方を基盤にしている。この戦略では主に、ボトル本体やキャップの軽量化による PET 樹脂使用量の削減、石油を原材料としない PET 樹脂の開発と、メカニカルリサイクル技術を用いたペットボトルリサイクルの推進に取り組んでいる。

ペットボトルリサイクルには、2つの手法がある。一つはケミカルリサイクル、そしてもう一つはメカニカルリサイクルだ。ケミカルリサイクルは PET 樹脂を分子レベルまで分解するため、大量のエネルギーを必要とするのに対し、メカニカルリサイクルでは、分子量の大きい PET 樹脂の処理が可能だ。これは、エネルギー消費の点では優れているが、リサイクル処理を行う前にボトルを隅々まで洗浄する必要がある。

きれいなペットボトルの回収は容易ではない。

「自治体が回収したペットボトルは、比較的きれいです。わが社は各自治体、流通業者やその他利害関係者と協力しつつ、『ボトル to ボトル』に適した、きれいなペットボトルの回収拡大に努めていきます」と、コーポレートサステナビリティ推進本部サステナビリティ専任部長の内貴研二氏は話した。

この取り組みは、日本のように使用済みペットボトルの回収が進んでいない国々ではさらに難しい。PET ボトルリサイクル推進協議会のデータによると、例えば、ヨーロッパの回収率は日本の3分の2にすぎない。東南アジア地域では、回収制度が未整備の国も複数ある。

「わが社のペットボトル飲料の41パーセントは日本国内で販売されていますが、35パーセントは東南アジア諸国連合(ASEAN)内のいくつかの国で流通し、15パーセントはヨーロッパ向けです。わが社は国際的に活動していく必要があります」と、内貴氏は語った。

サントリーは、グループ全体でこの課題に取り組んでいくつもりだ。同社は自社製品が流通している、いくつかの国々におけるペットボトル回収制度の導入に向け、各国政府機関への支援や働きかけを行うため、他の飲料メーカーや流通業界との協働促進においてイニシアチブを取っていくと、新浪氏は強調した。

「ASEAN 加盟国は日本政府と親密な関係にありますので、わが社も日本政府に働きかけ、ペットボトル回収制度の導入と拡大に対する政府間協力を取り付けていきたいと考えています」と、新浪氏は述べた。「環境問題に国境はありません。環境問題に対処するには、さまざまな国家間の協力に基づく、国の壁を越えた努力が必要です。グローバル企業がイニシアチブを取っていくべきなのです」と、新浪氏は続けた。

サントリーが掲げる、2030年までの国内目標の達成に向けた取り組みは、同社の製品を消費する他の国々にとって、一つのモデルケースになることだろう。

さらに、サントリーは「FtoP ダイレクトリサイクル技術」を用いたメカニカルリサイクルシステムの開発にも成功している。この技術は、使用済みペットボトルから生成したフレークから、直接プリフォーム(試験管のような形状をしたペットボトルの原型。加熱し高圧空気を吹き込むことでペットボトルに加工される)を製造できる新技術だ。

フレークからプリフォームを製造する従来の方式では、フレークの加熱・溶解、結晶化、結晶化レジンの溶解、プリフォーム形成と、多くの工程が必要だった。

無意味にも思える二度の加熱処理の理由は、フレークを加熱・溶解し、結晶化レジンを生成する機械と、結晶化レジンを溶解し、プリフォームを製造する機械が異なっているからだ。

サントリー MONOZUKURI エキスパート社の SCM 本部包材部チーフスペシャリストの高田宗彦氏は、「原料を溶解するには約300度まで加熱しなければならないため、一台の機械で全ての処理が行えるようになれば、不必要な工程を省くことができ、CO2 の排出量が大幅に低減します」と説明した。

「FtoP ダイレクトリサイクル技術」は、従来のメカニカルリサイクルと比較すると、CO2排出量を約25パーセント低減できるという。これにより、石油由来 PET 樹脂と比べ、CO2排出量を60パーセント超削減することが可能になる。

サントリー、協栄産業、SIPA(イタリア)、EREMA(オーストリア)の4社が共同で開発したこの技術により、二度の加熱・溶解処理を結合することで、「フレークからプリフォーム」への近道を実現した。

この新技術により、ペットボトルリサイクルの効率は向上し、環境負荷は低減した。だが、すべてのペットボトルが回収されるわけではなく、また、リサイクルに適した、きれいな状態ではないため、ペットボトルの原料を完全に再生 PET 樹脂に切り替えるのは不可能だ。さらに、再生 PET 樹脂の品質―例えば、色や粘度―も、リサイクルに使用された回数によって変化する。

再生 PET 樹脂の品質を均一に保つためには、リサイクルのサイクルに新しい PET 樹脂を加えなければならない。PET 樹脂使用量において、サントリーは環境に優しい、この利用バランスを実現するべく、引き続き尽力していく考えだ。

2012年、サントリーはアメリカのバイオ化学ベンチャー企業、アネロテックと共同で、木片から持続可能な PET 樹脂を生成するための研究開発を開始した。

サントリーの投資を受け、アネロテック社はアメリカのテキサス州に実証プラントを建設した。サントリーはこのプラントを通して、ペットボトルリサイクルへの植物由来 PET 樹脂の導入と、石油由来 PET 樹脂からの完全な切り替えを目指している。これにより、製品と生産工程のグリーン化が進むだけでなく、原油価格変動の影響を最小限にとどめることも可能になる。

「わが社はこのほど、PET 樹脂を原料としない廃棄プラスチックから、PET 樹脂を生成する方法の研究に着手しました。グローバル企業として、志を高く持ち、環境と経済の両方において維持可能で、有効な実践例を示すべく、一層努力していきます」と、新浪氏は述べた。

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