April 26, 2024

殿様気分で日本の城に泊まれる「大洲城キャッスルステイ」

ライター:中和田ミナミ

宿泊客は、天守を貸し切りにして泊まることができる。
© VMG HOTELS & UNIQUE VENUES

殿様・お姫様気分で、国の重要文化財に指定される「城」に泊まれることをご存じだろうか? それが愛媛県にある大洲市の「大洲城キャッスルステイ」だ。2020年7月にスタートしたこの取り組みは、1日1組限定、二人で1泊約120万円で、普段は一般に公開されている城を貸切って泊まることができるのだ。

この城の歴史は鎌倉時代末期(14世紀)までさかのぼる。1331年、この地を治めた宇都宮豊房が築いた「地蔵ヶ嶽城」が始まりといわれ、戦国末期まで200余年にわたって城として使われてきた。その後、城主が次々と代わったが、その間に近代城郭へと整備が行なわれ、1617年、加藤貞泰が城主となったころには城郭のほとんどが現在のような形に整備されていたと考えられている。4層4階の天守(城郭で一番高く目立つ建物)は残念ながら1888年に解体されてしまったが、2004年に木造で復元された。

復元にあたっては日本の多くの再現天守と同じように、当初は鉄筋コンクリートでの再現も検討された。しかし、江戸期の木組模型と解体前に撮影された3方向からの鮮明な写真が発見されたため、木造での完全復元が可能と判断され、伝統的な工法により、10年の歳月と13億円の費用をかけ再建された。

宿泊客は入城の際、新たな城主として迎え入れられ、甲冑に身を包んだ家臣から、火縄銃で祝砲が鳴らされる。
© VMG HOTELS & UNIQUE VENUES

この城郭には、4棟の櫓(やぐら)が江戸時代から現存しており、櫓のすべてが国指定の重要文化財となっている。この城に泊まる際には、今も残る櫓でディナーを食べるなど、実際に使用することができるのがこの「大洲キャッスルステイ」の醍醐味だ。

滞在の流れを見てみよう。唯一無二の体験は、最寄りの松山空港に到着した時から始まる。

空港には、武士の姿をした家臣(コンシェルジュ)が車で出迎えてくれる。車は大洲市内へと向かうが到着すると男性は甲冑姿に、女性は和服へと着替えをする。そして日暮れ共に宿泊先となる城に入るのだ。

城に入る際は、大洲城藩主・加藤貞泰の時代の史実を基にした儀式が行われる。法螺貝と陣太鼓の合図で大洲城に入城を始めると、家臣たちが本物の火縄銃で祝砲を打ち、“新たな城主”を迎えてくれる。さらに宿泊者のためだけに、大洲の伝統芸能、神楽が披露されるのだ。その後、ディナーは、重要文化財に指定されている「高欄櫓」で、かつて藩主が食したであろう献立を現代の技法でアレンジした特別な「殿様御膳」をいただく。風呂は敷地内に新築された宿泊者専用ラウンジで城を眺めながら入り、そして天守で就寝となる。宿泊の間は、バトラーやシェフ以外の城内への立ち入りは制限されるので、宿泊者だけでゆっくりと過ごすことができる。

ここでは、ただ城に泊まるだけでなく、無形遺産ともいえる入城儀式や伝統芸能に触れることもでき、他ではできない体験ができるだろう。

夕食は、かつて藩主が食したであろう献立を現代の技法でアレンジした特別な「殿様御膳」をいただく。
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宿泊客のためだけに、地元に伝わる伝統芸能である「神楽」が披露される。
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NIPPONIA HOTEL 大洲 城下町

愛媛県大洲市大洲378 Tel:0120-210-289(VMG総合受付窓口 11:00〜20:00)
「大洲城キャッスルステイ」120万円(税別。夕・朝食付き2名分)、1名追加ごとに+12万円(税別)
www.ozucastle.com

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