December 20, 2024

万博会場で体験する“世界旅行”

ライター:和泉俊史

会場図は2024年9月時のものです。2025年開催時の、実際の配置と異なる場合があります。
ILLUSTRATION: RYOKO YAMASAKI/INFORAB

2025年4月から、日本で3回目となる国際博覧会「大阪・関西万博」が開催される。今回は161の国・地域に加え、国際連合や国際赤十字・赤新月運動など9つの国際機関が参加を表明している。開催前から期待が高まるのが海外パビリオンの数々だ。当初、日本国際博覧会協会は、海外パビリオンについて3つの形式を設けていた。

参加国・地域が費用を負担し、設計者・施工者を自国で選定してつくる「タイプA」、日本側が建てた建物を使用し出展者が内部の展示空間をつくる「タイプB」、日本側が建てたタイプBの建物を複数の国で使う「タイプC」だ。しかし人手不足や資材高騰などによる建設工事の遅れを受け、23年7月に協会は、より簡易的なデザインで建設期間が短い「タイプX」を新設するなどして対応を続けている。が、やはり注目なのは「万博の華」と言われる、参加国が自前で建物をデザインする「タイプA」のパビリオンだろう。この「タイプA」を予定しているのは47カ国42棟だ。

今回海外パビリオンはすべて、会場デザインプロデュサーである建築家・藤本壮介がデザインする木造の巨大な「大屋根リング」(1周2キロ、幅30メートル)の輪の中に、収まるよう配置が計画されている。「多様でありながら、ひとつ」という万博の理念を体現するようデザインされているのだ。会期後に大量の廃棄物を生み出すことにもつながりかねない仮設建築のパビリオンだが、今回は自然素材としてリサイクルも可能な木造のものや、万博後も再利用できるようデザインされたプレファブ部材をつかった建築も目立つ。万博会場で各国のパビリオンを巡り、世界一周の旅に出かけたい。


オーストラリア・パビリオン

テーマ「Chasing the Sun」

パビリオンの外観は、オーストラリアのシンボルであるユーカリの花から着想を得たデザインで、国の活気と多様性を象徴してる。持続可能性にも十分配慮し、過去の国際的な大規模イベントで使用された建築資材などを再利用している。
© DESIGN BY BUCHAN HOLDINGS PTY. LTD. RENDER BY FLOORSLICER

スペイン・パビリオン

テーマ「Kuroshio current. Dipping into a single ocean that connects our countries.」

東西間の豊かな交流を育んだ海洋ルートを生み出した海流「黒潮」が展示テーマになっている。パビリオンのデザインは、地球上の生命の源であり、海洋国家スペインと日本両国にとってのシンボルである「海と太陽」がモチーフになっている。
© PROVIDED BY ACCIÓN CULTURAL ESPAÑOLA

シンガポール・パビリオン

テーマ「Where Dreams Take Shape」

シンガポールが「小さな赤い点(Little Red Dot)」と呼ばれることからインスピレーションを得た「ドリーム・スフィア」と呼ばれる、高さ17mの赤い球体が特徴的なパビリオン。球体は約1万7千枚のリサイクル・アルミニウムを使用した赤いディスクで覆われている。
© THE SINGAPORE PAVILION, EXPO OSAKA 2025

トルクメスタン・パビリオン

テーマ「Inspiring a Better Tomorrow」

特徴的な、丸みを帯びた三角形の平面プランは、「循環」「サステナビリティ」「生命の流れ」を表している。パビリオン内では、トルクメニスタンの文化や歴史、サステナビリティに重点を置いた同国の経済発展を体験できる。
© SUPPLIED BY BELLI

ルクセンブルク・パビリオン

テーマ「Doki Doki – The Luxembourg Heartbeat」

ルクセンブルクの持続可能性と循環型社会のビジョンを共有し、鼓動が「ドキドキ」と脈打つような体験を提供する。パビリオンは膜屋根を持つ鉄骨造で、万博閉幕後に可能な限りパビリオン部材の再利用を目指すという。
© STDM ARCHITECTS

オランダ・パビリオン

テーマ「Common Ground」

共に分かち合い、新しい価値を生み出す『コモングラウンド』がテーマ。パビリオンの名は、“A New Dawn‐新たな幕開け”。建物の中心には球体があり、持続的に利用可能なクリーンエネルギーと日の出を表現したデザインになっている。
© PLOMP

インドネシア・パビリオン

テーマ「Thriving in Harmony」

世界最大の島しょ国・インドネシアは島々を行き交いながら文化を築きあげてきたことを「船」をモチーフにしたパビリオンで表現する。熱帯雨林などの豊かな自然環境を紹介するほか、新首都「ヌサンタラ」建設の様子なども展示する。
© DESIGN BY PT SAMUDRA DYAN PRAGA

タイ・パビリオン

テーマ「Create lives for great happiness」

メインテーマは『大きな幸福のため、いのちに力を与えるタイ』。このテーマのもと、「微笑みの国」タイの笑顔が世界中の人々に広がり、幸福をもたらすことを目指す。また「免疫の楽園」を標ぼうするタイについての展示もある。

クウェート・パビリオン

テーマ「The Visionary Lighthouse」

『先見の明かり』をテーマに、クウェートの過去、現在、未来を表現したパビリオン。パビリオンのエントランス側の屋根は、美しいカーブを描いた翼のようなデザインになっている、このデザインは歓迎の意が込められ“おもてなし”を表現している。
© LAVA

中国パビリオン

テーマ「Building a Community of Life For Man And Nature — Future Society of Green Development」

展示テーマは、『自然と共に生きるコミュニティの構築ーグリーン発展の未来社会』で、自然と調和して生きる中国文化をアピールする。パビリオンは、中国の伝統的な書道の巻物を広げた形をモチーフにしたデザインとなっている。
© CHINA COUNCIL FOR THE PROMOTION OF INTERNATIONAL TRADE (CCPIT)

イタリア・パビリオン

テーマ「Art regenerates Life」

展示テーマは『芸術は生命を再生する』。パビリオンは「ルネッサンスの理想都市」を近代的に再解釈したデザインで、屋上には庭園とレストランがあり、この庭園を眺めながら、イタリア料理を楽しむことができる。
© COMMISSIONER GENERAL FOR ITALY AT EXPO 2025 OSAKA

フィリピン・パビリオン

テーマ「Nature, culture and community can be woven together for a better future」

フィリピンの伝統工芸品である「織物」を通してフィリピンの多様性や人とのつながりの精神を表現するという展示。それを表現するためパビリオンの外観は、籐を規則正しく編み込んだ籐細工をイメージしたデザインになっている。
© PHILIPPINE PAVILION/CALRO CALMA CONSULTANCY

チェコ・パビリオン

テーマ「Talent and Creativity for Life」

チェコパビリオンのテーマは『人生のための才能と創造性』。パビリオン建築の構造には最新のCLTパネル(特殊な木の集成材)が採用され、ボヘミアン・クリスタルを使った美しい回廊状のパビリオンとなる。
© OFFICE OF THE CZECH COMMISSIONER GENERAL

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