June 23, 2020

三重県志摩市で環境保全を学ぶツアーを実施【スタディツアー】(第2回Satoyama実践者交流会2019 in 志摩市)

Japan Times Satoyama Consortium

Shinji Sato shows his charcoal production studio in the city of Shima on Feb. 24.

三重県志摩市は海側も山側も豊かな自然に恵まれている。2月24日、25名のグループが市内の3ヶ所をめぐるツアーの参加し、様々な環境資源を観察し、それを活用する人々に会った。

このスタディツアーは、2月23日、24日に三重県志摩市のホテル&リゾーツ伊勢志摩で行われた、里山(地域住民に利用・維持されている山や森林)と里海(人々が生物多様性を維持するために関わっている海や沿岸の環境)に関するイベントの一部として実施された。172名が参加したこのイベントは、ジャパンタイムズSatoyama推進コンソーシアムと志摩市の共催で行われた。

スタディツアーには、イベントの参加者やパネリストが参加し、的矢湾にあり、95年の歴史を持つ牡蠣の養殖場、佐藤養殖場を訪れた。代表取締役の佐藤文彦氏は東京で生まれ育ったが、栄養豊かな海で育ち、高品質で知られる牡蠣の伝統を絶やさないため、父親から家業を引き継いだ。

佐藤氏の祖父は、日本で初めて生食用の牡蠣の養殖を始めた人物だ。「牡蠣は1時間に約20リットルの水を吸い込み、栄養分だけでなく、水に含まれるものを何でも吸収してしまいます。安全でおいしい生牡蠣を作るため、紫外線を利用して清浄しています」と佐藤氏は話す。

この独自の清浄過程は、佐藤氏の祖父が開発したものだという。この過程には20時間かかるが、それは牡蠣が自然に代謝するのに必要な時間だ。

牡蠣は、日本中のレストランやホテルに直送される。「5年以内に世界進出する予定です」と佐藤氏は語る。

しかし、牡蠣養殖は地球温暖化による深刻な問題に直面している。

「これまで収穫時期は9月からだったのに対し、昨年は水温が高いままだったため10月20日までずれ込んだのです。収穫時期が短縮されてしまうため、温暖化は我々にとって深刻な問題です」と佐藤氏は話す。

スタディツアーの一行が次に訪れたのは、真珠の養殖で有名な英虞湾を望む横山展望台だ。標高140メートルの地点にあるこの展望台のテラスからは、リアス式海岸に沿って浮かぶ60以上の緑の小島を見渡せる。

駐車場から木製の遊歩道を歩き、展望台にたどり着く。

隣接するカフェでは、海藻のあおさのスコーンやカツオバーガーなど、地元の食材を使った軽食が楽しめる。

一行が最後に訪れたのは、志摩市の山側にあるさとう製炭工房だ。佐藤進司氏は、和歌山県で熟練の炭焼き職人のもとで4年間働きながら学んだ後、1997年に志摩市で製炭を始めた。

「製炭にはウバメガシを使います。和歌山にいる頃に、このあたりにはたくさんのウバメガシが生えていて、あまり競合もいないということを知り、ここに来ることに決めたのです」と佐藤氏は話した。

佐藤氏は自分で山に入ってウバメガシを探し、土地の所有者と交渉し、木を切って運ぶ。択伐は里山の生物多様性を保つ有効な方法だ。地面や下草に充分な日光が届くので、土壌が豊かになり、若木が早く育つ。

佐藤氏は4基の釜も自分で作った。1基の窯で、一度に6.5トンのウバメガシから800キロの炭を作ることができる。

「昨年、奈良県で英語教師をしていたアメリカ人が家族でこちらに引っ越してきたんです。山が大好きで植物に関して広い知識を持っている方です。ケーブルテレビでわたしが仕事のことを話しているのを観て、ここに引っ越していっしょに働きたいと考えたそうです」と佐藤氏。

日本で売られている木炭のほとんどは輸入されたものだが、国産の高品質な炭の需要は高い。この需要に応えるため、佐藤氏の娘婿は工房で働き始めた。

志摩市で行われたこのスタディツアーを通して、参加者はこの地域の特性や名産について学ぶことができた。これらの名産品は、地域の豊かな自然と伝統的な製法を守り続ける人々の努力の賜物であった。

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