May 27, 2020

地産地消で地域経済を活性化(第2回Satoyama実践者交流会2019 in 志摩市)

Japan Times Satoyama Consortium

Momo Kondo, Hiroe Higuchi, Chihiro Takeuchi and panel facilitator Tadashi Matsushima

日本の地域経済の活性化を目指し、地方にある資源を有効的に活用している事例やアイデアを共有するため、Japan Times Satoyama推進コンソーシアムと志摩市(三重県)は2月23日、24日に志摩市のホテル&リゾーツ伊勢志摩でイベントを共催した。

23日に行われたパネルディスカッション2では、里山(地域住民に利用・維持されている山や森林)や里海(人々が生物多様性を維持するために関わっている海や沿岸の環境)における地産地消をテーマに議論が交わされた。

山口県の周防大島にある瀬戸内ジャムズガーデンの店主、松嶋匡史氏が司会を務めた。瀬戸内ジャムズガーデンはカフェが併設された手作りジャムの工場で30人の従業員が働いている。年間85,000人が訪れ、58軒の農家と提携して多種多様なジャムを生産している。

「地域に経済循環を作りたかったのです」と話す松嶋氏は、地産地消と付加価値を高めた農産物を訪問客に販売することが地域全体に利益をもたらすと強調する。10年以上前にこの島で起業したときには、加工用のみかんなどの農産物の価格は非常に安く、若者は農業を継ぎたがらなかったという。

そういった果物や野菜を適正価格で購入し、ジャムの製造に利用することで松嶋氏は地域の農業の活性化に貢献している。そこで3人のパネリストにも、それぞれの分野でどのように地産地消を実行しているかを尋ねた。

志摩観光ホテルの総料理長で、G7伊勢志摩サミット2016のディナーを担当し、2017年農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」ではブロンズ賞を受賞した樋口宏江氏は、「地元の柑橘農家や伊勢エビ漁業者、肉牛の牧場を見に行って、料理に使う食材について学ぶようにしています。お客様に料理を作って提供する者として、こういった情報をお客様にも知ってもらうことは我々の使命です」と話した。

また、材料に季節性があるということは強みだと樋口氏。地産地消を推進するには、「年間通じて同じものを提供できなければならないという考え方をやめる」ことが重要だと語った。

志摩市の竹内千尋市長は、和具漁港で実践されている持続可能な伊勢エビ漁について話した。「一年のうちの一定期間、数人の漁師が一隻の船に一緒に乗り込んで伊勢エビ漁を行い、平等に利益を分け合います」と竹内市長。これにより、漁師間の競争による乱獲を防ぎつつ、燃料費も80%削減、網の消耗も抑えることができるという。

近藤百氏は、三重県伊賀市にあり、56年の歴史を持つ寄宿学校、愛農学園農業高等学校の教師である。この学校の生徒たちは、自分達が消費する食物の70%を生産しており、生産した農作物を学校外でも販売しているという。「生徒たちは、自分たちのことを『生産者』と呼んで、販売しています」と近藤氏。そうすることで責任感が増し、消費者と平等な関係になるという。

農業は周りの人々といっしょに地域で生き延びるための手段だと話す近藤氏。「平和という言葉を使わないで、どのように平和を説明しますか。平和とはたくさんの命と生きることです」と話した。この考え方は、愛農学園の教育の中にあるものだという。

生産者の数が減少傾向にある中、地産地消をどう維持するかという質問に対し、竹内市長は、漁師になるために市外から志摩市に移住してきた人が40人ほどいると話した。「地域の中で消費するものを地域で作るという意識を持って、消費者と地域が一次産業を支えることが重要です」と語った。

司会と3人のパネリストによるディスカッションの後には、三重県度会郡でまるきんまるというゲストハウスを営む漁師の橋本純氏と志摩市にある三重県立水産高等学校の生徒のグループが実践事例紹介のプレゼンテーションを行った。

橋本氏は、今ある資源を守るという価値観を共有してその意識を高めため、漁や養殖の体験を提供している。水産高校の生徒たちは、さまざまな種類のレトルト、缶詰、瓶詰の水産加工商品を作り、販売している。今後の目標は、商品で使う、地域で生産・加工された材料の割合を増やしていくことだという。

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