March 14, 2018

小さな島で大きく広がる可能性〜しまの会社代表取締役の村上律子さん(愛媛県弓削島)

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Ritsuko Murakami, founder and president of Shimano Kaisha, speaks at Satoyama Cafe in Tokyo on Jan. 25. | YOSHIAKI MIURA

愛媛県の弓削島は瀬戸内海に浮かぶごく小さな島だが、国内外の旅行者が引きも切らず訪れる。島民たちは、天然塩、海草、自生の野草など地元の特産品を使って料理を創作し、旅人の人気を博している。

弓削島にある「しまでcafe」では、地元の食材でできた料理を味わうことができる。この店の客のおよそ15パーセントは外国人だ。

「外国人のお客さんのほとんどはヨットマンなんです。オーストラリア、ニュージーランド、オランダなどの国から来ていて、海の上で何ヶ月も過ごす人もいます」と、「しまでcafe」運営会社の創業者で代表取締役の村上律子氏が1月25日の第3回里山カフェで話した。村上氏は、Japan Times Satoyama推進コンソーシアムが主催するイベント「里山カフェ」で講演した。

村上氏は「弓削島がヨットの雑誌に載ったそうです」と話し、弓削島がヨットに乗る人に人気が出たきっかけかもしれないと述べた。

「しまでカフェ」で一番人気の料理は「摘み菜ランチ」だ。摘み菜とは弓削島で自生する健康によい野草や花、海草などの食材で、菊芋やヒジキが代表的だ。

村上氏は、人口わずか3,000余りで周囲12kmの弓削島を活気付けることにキャリアのほぼすべてを費やしてきた。

弓削島出身の村上氏は、起業する前、公務員として旧弓削町役場で38年間働いた。町役場に勤務していたとき、島の伝統を守り、島を活性化する女性のボランティアを募ってグループを作るよう上司から促され、「ゆげ女性塾」を立ち上げた。島に伝わる生活史をゆげ女性塾のメンバーと老人から聞き取り調査をしたり、地域の子どもたちに摘み菜採りを経験させたり、島内外の人の交流を促すイベントを開催したりした。

村上氏は活動をさらにレベルアップしようとした。2004年には弓削島にある16の女性グループの連合体「おいでんさいグループ」を結成。グループのメンバーは、地元産の食品を販売する店の経営や、島民と島外の人々の交流イベントの主催、地元の食品、工芸品の生産などの業務に携わった。

2008年には、このグループのメンバーが出資して「株式会社しまの会社」を設立した。大粒で美しい結晶が特徴の弓削塩の認知促進や、その他の資源を活用した島の認知促進の様々なプロジェクトを手がけている。

「しまでcafé」をオープンしたことは村上氏の数多くの功績の一つに過ぎず、社長として会社の組織を拡大し続けてきた。 2010年には弓削塩を作る非営利団体「弓削の荘」を設立。同じ年に、高齢者コミュニティー向けのプロジェクトを手がける非営利団体「しまの大学」も設立した。この大学のプロジェクトには、コブミカンの栽培や、摘み菜の生態を持続させるための環境保護活動などがある。

こんなに多くの多様な活動をどう管理しているかとの問いに、村上氏は「頼まれたことをやった結果です。困っている人を助けたいのです」と答えた。

例えば、「しまの会社」は独り身の高齢者に食事を届けているが、通常は役所の範疇である。

「いろんなことを軽く考え、いきおいでやっています。一番大変だったことは寝る時間が無いこと。いろいろやりすぎるから。私が忙しすぎることで一番困ってるのは家族かもしれません」と村上氏は語った。

村上氏は弓削島に外国人観光客をもっと迎え入れたいという。観光客は旅館に宿泊するほか、島民の家庭でのホームステイなどで島での日常生活を体験することができる。小規模ながらも、村上氏の会社は摘み菜採りや弓削塩作りなどのユニークな体験観光コースを提供している。

「この島が大好きで多くの人に来ていただき素晴らしい経験をしてもらいたいです」と村上氏は語った。

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