January 15, 2020
ITベンチャー、国際観光振興の一環として箱根で芸者体験を提供(TABICA)
和食と酒を楽しみつつ、着物の芸者が伝統的な音楽に合わせて優雅に舞う姿を鑑賞し、お座敷遊びに興じる―日本の伝統文化に興味がある外国人にとって、このような娯楽は伝統を体験する最高の機会となるかもしれない。
この種の娯楽を楽しめる場所は多数あるが、一人客や少人数のグループ、また気軽にこのような体験をしてみたいという人にとっては、料金が高すぎることが多い。さらに、日本語を話さない人が予約を取るのに大変なこともある。また、もてなす側に言語サポートを提供する用意がなければ、体験を心ゆくまで楽しんだり、その詳細について学ぶことは難しいだろう。
これが、東京に本社がある IT ベンチャー企業で、日本のシェアリングエコノミー市場の主要プレーヤーでもあるガイアックスが箱根湯本芸能組合、小田急箱根ホールディングスと連携し、Meet Geisha という芸者と交流できるプログラムを神奈川県箱根町で開催している理由の一つだ。
ガイアックスが運営する地域体験マッチングサービス TABICA(たびか)の訪日チームは、日本を訪れる外国人旅行客に地域・文化体験を提供することを目的としたインバウンドサービスを専門にしている。この訪日チームは Meet Geisha の他、TABICA Experience +(プラス)という外国人旅行者向けローカルツアーやツアーガイドの育成サービス事業も運営している。さらに TABICA は、年間数千人の旅行者のもてなしを通じて得たノウハウを生かし、訪日観光コンサルティングサービスも行っている。
「箱根を取り上げたのは、訪日旅行者が増えつつある箱根には、まだまだ、彼らにとって魅力的なコンテンツがこの地に眠っていると思ってからです。」と、TABICA 訪日チームのリーダーを務める西村環希氏は語った。
自然に囲まれた温泉リゾート地である箱根は、昔から人気旅行先の一つとされてきた。最近は首都圏に近くアクセスが容易な静養先として、外国人訪問客の間で人気が高まっている。
「しかし、箱根に独自の花柳(かりゅう)界があることを知る人は多くありません」と、西村氏は話した。箱根には150人もの芸者がおり、西村氏は、箱根の芸者文化は地域経済を活性化するための素晴らしい資源だと感じている。
かつて芸者が経営するバーで働いていた西村氏は、宣伝活動や新規客の呼び込みを通じて、芸者文化の繁栄を支援することの重要性について語った。
Meet Geisha は、箱根湯本と箱根の芸者の紹介、芸者による日本舞踊披露、お座敷遊び、芸者との写真撮影と会話で構成されている。
11月初旬にプログラムが始まって以降、週あたり30名強の参加者があり、日本人と外国人ゲストの比率はおおむね半々、幅広い年齢層の方が含まれるという。
西村氏は、Meet Geisha は地元住民からも歓迎されていると話し、「地元の方々はこのようなプログラムが、また新しい風を吹かせることを期待しています」と続けた。
参加者にはプログラムでの芸者との交流が特に好評だという。
「説明やインストラクションは、すべて日本語と英語の両方で行われるため、来訪者は気兼ねなく芸者に質問したり、会話したりできます」と、西村氏は語った。
Meet Geisha は、湯本見番(箱根湯本芸能組合)にて、水曜日と金曜日(2019年の最終開催日は12月25日)に開催されている。湯本見番へは小田急箱根登山鉄道箱根湯本駅から徒歩5分。詳しい情報はMeet Geishaの公式ホームページにて確認ができる。
「従来のやり方で宴席に芸者を呼ぶ際にかかる金額を考えると、このイベントはとてもリーズナブルです」と、西村氏は話した。(1回ごとに異なる芸者2名が出演)
また「参加されるゲストには毎回違う芸者と会って、会話し、色々なお座敷遊びを体験する機会が持てるようになっているので、大勢の方にリピートしてもらえると嬉しいですね」と笑顔で付け加えた。