February 06, 2023

OATアグリオ、植物由来の農薬で作物を守る

栽培研究センター/鳴門市| OAT アグリオ株式会社

農薬や肥料の製造・販売を手掛けるOATアグリオ株式会社は「食糧量産技術(アグロテクノロジー)と真心で世界の人々に貢献します」という企業理念を掲げ、事業を運営している。東京証券取引所プライム市場に上場を果たした同社は大塚化学株式会社のアグリ事業部門がマネジメント・バイアウトを経て2010年に設立された。「当時、国際連合食糧農業機関(FAO)により発表された予測にて、2050年までに90億超に達する世界人口を養うためには食料生産を約70%増加する必要があると示されました」とジャパンタイムズとの最近のオンライン取材で、OATアグリオ株式会社代表取締役社長の岡尚(おかひさし)氏は話した。

食料増産を達成するためには、(作物の)病害虫防除が必要不可欠だ。「2020年を国際植物防疫年(International Year of Plant Health)」と定めたFAOによると、人々が食べる食料の80%以上は植物由来であり、毎年そのうちの最大40%が病害虫の被害を受けているという。「同じ農薬を繰り返し使用することで、害虫は耐性を獲得していきます。常に新しい農薬を見つけることが我々の使命です」と岡氏は語った。

しかしながら、同社が追究しているのは新薬剤の有効性だけではない。天然物や食品添加物由来の環境や人に優しい原料をベースとする防除資材の研究開発に注力してきた。「例えば、べに花油を主成分とするサフオイルはダニを窒息死させます。油膜によってダニの卵が孵化するのも防ぎます」と岡氏は話した。

植物の成長には十分な栄養分を摂取することも重要な要素です。しかしながら、岡氏は化学肥料の過剰使用は土壌を傷める恐れがあると指摘した。そのような理由から、OATアグリオは、(植物の)各成長段階に合せて、植物の根に適正量の肥料と水を与え過剰施肥を防ぐ養液土耕栽培システムを推進している。「本システムを導入した茨城のピーマン農家では、慣行農法と比較して約25%の施肥量削減に成功しました」と岡氏は話した。

OATアグリオはまた、センサーカメラ数台を利用し人工知能(AI)が作物の生育状況を自動で診断する技術も開発した。

さらに、栽培トータルソリューションサービスも立ち上げた:「アグリオいちごマスター」は作物栽培に必要な物資(農薬、肥料やバイオスティミュラント)と栽培技術などを定額制のパッケージとして提供するものだ。本サービスは現在、いちご栽培に特化しているが、今後は他の農作物にも拡大していく計画だ。これにより、生産者は労働負担が軽減され、新規就農者であっても生産量を確保できるようになるだろう。

点滴灌漑システムを利用したイチゴ栽培施設| OAT アグリオ株式会社

農薬や肥料では解決できないのが、地球温暖化や気候変動問題です。気温や降雨など、自然環境の急激な変化は作物にとってストレスとなり、これは品質と収穫高の低下につながる。

この問題を解決するため、OATアグリオは植物の本来持つ免疫力を高め耐寒性・耐暑性・病害虫耐性の向上を促すバイオスティミュラント製品の開発に尽力している。現在、世界50ヵ国以上にバイオスティミュラント製品を供給していると岡氏は話した。

OATアグリオはさらに、環境や社会に優しい企業体を目指している。徳島県鳴門市にある同社の工場は既に再生可能エネルギーを導入済みだ。また、国外の関連会社の一部は再生可能エネルギー電力に加え、社屋や製造施設に太陽光パネルやLED照明を取り入れている。

温室効果ガス排出量の削減の観点から、OATアグリオは自社の活動による排出量のカテゴリーであるSCOPE1/SCOPE2の算定を行いました。「結果に基づき、当社は排出量削減の取り組みを加速させていきます。さらに現在、サプライチェーン全体の中での温室効果ガス排出量策定に取組んでいるところです。」と岡氏は話した。

OATアグリオが新たに進めているのは、BtoB市場にとどまらず、自社のECサイトやソーシャルメディアを通して一般の人々に働きかけることだ。すべての人々に育てる喜び、観る感動、食べる幸せを届けることによって、生産者だけでなく消費者にも持続可能な農業の重要性を発信していきたいと考えております。「自宅でキッチン菜園を楽しむこと、それは食糧増産に貢献する方法の1つです」と岡氏は話した。

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