July 25, 2023

海洋プラスチック問題の解決をめざすCLOMA

COSUFI

和歌山県にある友ケ島は、和歌山市の港から8キロほど離れたところに位置する無人島だ。かつては深い緑の島を囲む白い砂の海岸にごみを見かけることはなかった。しかし現在、浜辺はペットボトル、プラスチック容器、ビニール袋などの廃棄物で覆われている。近隣諸国から海流によって流され海岸に打ち上げられたものだという。

「40年前の友ケ島はきれいな海岸だった。」海洋プラスチックごみのリサイクルを推進する業界団体であるクリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)の澤田道隆会長はこう話す。「しかし最近、島を訪れると海岸の漂着物に驚くばかりです。」

澤田氏が会長を務める花王の和歌山工場の近くに位置する友ケ島の光景は、プラスチックごみによる汚染の一つの例に過ぎない。

近年、気候変動だけではなく海洋プラスチックごみの問題についても、喫緊の課題として世界的に危機感が高まっている。「我々がこのまま何もしないと大変なことになる。早く食い止めなければという危機感がCLOMA設立の後押しになったのです」と澤田氏はジャパンタイムズとのインタビューで述べた。昨年9月、CLOMAはジャパンタイムズ主催のサステナブル・ジャパン・アワードのESG部門で特別賞を受賞した。

Michitaka Sawada, chair of CLOMA | COSUFI

CLOMAは2019年に設立され、プラスチック容器を使う食品や日用品メーカー、容器メーカー、商社、流通会社などによる連携のための団体として活動を始めた。今日では会員企業数は497社になり、設立当初の156社の3倍以上に増加した。

CLOMAのゴールは、「3R」(Reduce減らす、Reuse再利用する、Recycleリサイクルすう)を実現しつつ、2050年までに新たなプラスチックごみをゼロにすることだ。「日本の強みを最大限に活かして『ジャパンモデル』を確立することでゴールを達成する」と澤田氏は話す。日本の強みとは、他者を気遣い「もったいない」精神を持っていることだと言う。昨年、CLOMAはタスクフォースを立ち上げ、現状の予測値やゴールに到達するまでの道筋を立てている。さらに国の支援を得るために、政府に提出するための提案書をまとめている。

すでに多くの人々が気づいているように、プラスチックごみの問題は容易に解決できるものではない。プラスチックには食品容器としての多くの利点がある。中身が漏れ出たり臭い移りがしにくく、容器が軽く、低価格などの理由で多くの企業やそのサプライチェーンがプラスチック容器を利用している。バリューチェーンに関係する多様な企業が協力をする必要があるのは、こうした理由からだ。さらに、廃棄物の回収や焼却を担う自治体からの支援が必要であり、プラスチック容器を削減して再利用やリサイクルのために分別廃棄するためには消費者の協力も必要だと澤田氏は話す。

プラスチックごみのリサイクルが困難なのは他にも理由がある。そもそもプラスチックの種類は、ポリプロピレンやポリエチレンなど何種類もあり、さまざまな用途のために形成されている。それらすべての要因により、リサイクルには時間もコストもかかるのだ。

一方で、プラスチック廃棄物は焼却することで二酸化炭素(CO2)の排出が増加するだけではなく、海洋汚染にもつながっている。特に豪雨や台風が廃棄物を押し流し、海に流出させるケースが気候変動により年々増えている。さらに、こうしたプラスチックごみは時を経て海中で粉々になる。こうしてできたマイクロプラスチックは、人間や海洋生物の体内に入ると深刻な健康被害を招くことが知られている。

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このような背景から、CLOMAはプラスチックごみによる海洋汚染を削減するために他国との協力体制も構築している。インドネシア政府からの要請により、CLOMA内にワーキンググループを設立し、プラスチックごみ削減のための対応策の提案を提出した。同じようにベトナムやフィリピンの政府からの協力要請も届いている。

雑誌「サイエンス」に2015年に掲載された記事によると、192カ国から排出された2.75億トンのプラスチックごみのうち、480万~1270万トンが海洋に流出しているという。最大の流出は中国の132~353万トン、その次がインドネシアの48~129万トンだ。

CLOMAは会員企業の新規事業やイノベーション創出のためのビジネスマッチングの支援もしている。新規パートナーシップのケースは、2019年の設立時に6例だったのが、2022年には35例にまで増加した。

例えば、東京都でペットボトルのリサイクルの実証実験が2021年に開始している。東大和市に設置された10カ所の回収ボックスで使用済みプラスチック容器の空容器を回収し、水や廃棄物処理の事業を行うヴェオリアのリサイクル工場に輸送される。そこで容器の分別、洗浄を行い、ユニリーバ、花王、P&G、ライオン各社と連携して新しい容器をつくる技術を検証している。その他にも、兵庫県神戸市や福岡県北九州市でも日用品メーカーや小売業界の企業が協働して使用済み容器のリサイクルの取組みを行っている。

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