October 15, 2021

【CLOMA】海洋プラごみゼロへ、「ジャパンモデル」を世界に発信

CLOMA(Japan Clean Ocean Material Alliance)
会長 澤田道隆(さわだみちたか)
花王株式会社で一貫して研究開発に従事。素材開発研究所室長、サニタリー研究所長、研究開発部門副統括、ヒューマンヘルスケア研究センター長などを経て2012年代表取締役社長執行役員、ESG経営にかじを切る。2021年取締役会長。CLOMA発足に尽力。 | Hiromichi Matono

Sawada engaged in research and development throughout his career at Kao Corp. before being named as representative director, president and chief executive officer in 2012. | Hiromichi Matono

海洋プラスチックごみ削減に取り組む業界団体「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」は、一般消費者向け商品の容器包装などプラスチック製品の2050年までの100%リサイクルを掲げる。素材やそれを商品に採用する食品・飲料・消費財メーカー、小売業界、リサイクル業者、そして消費者や自治体も含むプラスチック資源循環全体の連携を推進し、イノベーション加速の旗振り役となる。初代会長の澤田道隆氏は、海洋プラごみゼロ化を目指す「日本発のソリューション=ジャパンモデル」を世界に広げたいと意気込む。

CLOMAは消費財サプライチェーンに関わる企業が中心となり2019年1月に発足した。20年5月にはアクションプランとして「プラスチック使用量の削減」「マテリアルリサイクル率の向上」「ケミカルリサイクル技術の開発・社会実装」「生分解性プラスチックの開発・利用」「紙・セルロース素材の開発・利用」「使用済みプラスチック分別回収システムの高度化」を公表。会員数は発足時の159社・団体から9月末時点までに452に増えた。リサイクルの規制作りや廃プラの分別回収を担う政府や自治体との関係強化も進め、東京都、神戸市、北九州市など7自治体がオブザーバーとして参画する。

プラごみ削減で企業・団体が業種の垣根を超えて協力し、行政とも連携してイノベーションの社会実装まで踏み込むCLOMAの活動は、世界的にもユニークだ。澤田氏は「個々の企業や数社連携による小さな社会実装が数多く始動している。それらを結集して大きな社会実装に展開し、国や世界の見本となるような仕組みに持ち上げていく」と意欲を語る。

Hiromichi Matono

澤田氏が重視するのがスピード感だ。50年のプラごみゼロ達成のためには30年までのリサイクル率80%超えの勢いが前提だが、目算はある。花王で研究開発畑を長く歩んできた技術者として「日本企業の(リサイクル関連)技術レベルは相当高い」とみる。

技術を少しずつ積み上げていくやり方は目標達成に時間がかかり、当事者のモチベーション維持も困難になりがちだ。それに対しCLOMAでは業種を超えて技術を集約し、個々の技術を最大限に生かす組み合わせをみつけて「掛け算をする」(澤田氏)。技術者・経営者としての経験から「プラごみ削減や脱炭素など社会的に大きな課題では、(イノベーションを)最初に一気に立ち上げ、見えてきた課題を改善しながらゴールに向かうことが重要だ」と確信するからだ。

「日本企業は競合との“いい競争”のなかで技術レベルを上げてきた。これからは互いに技術を持ち寄り、同じ大きな目標に一緒に取り組んでいく」と青写真を描く。その一例が、花王とライオンというライバル企業同士の提携だ。両社は20年9月、衣料用洗剤などの使用済み詰め替え容器回収の仕組み作りやリサイクル技術の開発で連携すると発表した。

消費財メーカーは従来、本体容器の小型・薄型化や、薄いフィルムで作る詰め替え容器(フィルム容器)の普及によるプラスチック使用量の削減に業界をあげて力を入れてきた。消費者が使いやすいようにと各社がフィルム容器に工夫を重ね、国内の詰め替え品の普及率は8割と世界でも群を抜く。しかし、フィルム容器は内容物を守るため複合素材の多層構造になっており、焼却処理される場合が多い。そこで両社はリサイクル推進のため、互いの技術を共有し、フィルム容器の設計段階から協働することにした。

イトーヨーカドーの一部店舗で使用済みフィルム容器を分別回収し、裁断・洗浄後にペレット化、それを再生フィルム容器へと水平リサイクル化させる実証実験を進めている。容器回収などで自治体とも連携する準備を進めており、「フィルム容器のリサイクルができれば、循環型経済の構築に近づく」(澤田氏)と期待する。プラスチック原料メーカーやリサイクル事業者などサプライチェーンの川上から川下まで幅広く協働する構想も抱く。

さらにその先には、廃プラのリサイクル過程で生じる二酸化炭素排出量の削減も見据える。ごみ問題の解決と脱炭素の両立は、もはや後回しできない喫緊の課題だが、技術面の困難さはもとより企業にとってビジネスとして成立しなければ継続は難しい。コスト削減努力を続ける一方で、価格転嫁の形で消費者にコスト負担を求める必要性も認識する。「環境問題に対する倫理意識は特に若い世代で高揚しているが、(対策の)コストを消費者も共有するという意識は欧州に比べてまだ低い」(澤田氏)とハードルは高い。

CLOMAで日本企業の技術を集約し、消費者も巻き込んだ高レベルの社会実装と仕組み作りを加速させ、EUが先行する規制作りに食い込みジャパンモデルの世界標準化を目指す。これが急務であることは会員企業の共通認識だ。「いまが(開発と社会実装を)一気に立ち上げるチャンス。焦る気持ちもあるが、きちっとした形で進めたい」と改革の覚悟を語った。

Sawada directed his efforts toward launching the Japan Clean Ocean Material Alliance.  Hiromichi Matono

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