December 25, 2023

NTT の持続可能スマートシティへの取り組み、ウェルビーイングのためのツールを開発

Maiko Muraoka Contributing writer
Translator: Tomoko Kaichi

NTTのスマートシティプロジェクトがレベル4認証を取得した | NTT アーバンソリューションズ

NTTグループは5月に発表した新中期経営戦略で「NTTは挑戦し続けます。新たな価値創造と地球のサステナビリティのために」を基本理念に掲げ、日本を代表する通信企業としてデータとテクノロジーの力を駆使した社会への貢献を宣言した。

グループの持続可能な社会の実現に向けた取り組みの歴史は長い。2020年に始動した「サステナブル・スマートシティ・パートナー・プログラム(SSPP)」では持続可能性と住民のウェルビーイング(心身の幸福)を重視した地域づくりを支援し、それに役立つデジタルツールや情報を提供する。

直近の注目すべき成果のひとつは、名古屋市東桜街区での街づくりプロジェクトがスマートシティ運用モデルに関する国際規格「ISO37106」の「レベル4:リーディングスマートシティ認証」を取得したことだ。NTTアーバンソリューションズ株式会社がNTTグループ各社と協力して手掛けるこの取り組みで、SSPPは認証の取得と活用をコンサルティングやコーディネーション提供で支援した。

日本電信電話株式会社(NTT)の研究開発マーケティング本部 アライアンス部門課長でSSPP事務局ディレクターの大成洋二朗氏はジャパンタイムズとの最近のオンラインインタビューで、国際標準規格などの指標について、スマートシティ開発プロセスにおいて取り組みの妥当性を照らし合わせて評価する「参照パターン」として有用だと説明した。一方で「地域にはそれぞれ異なる特性があり、すべての都市や街を同じパターンにはめることはできない。包括的で柔軟なパターンは、スマートシティ開発をどのように進めて継続するかのヒントをくれる」と指摘。ISO認証システムの利点として、認証要件ごとに「計画・実践・成果測定・改善サイクル」の繰り返しに重点を置き、取り組みを一過性のものにしないことだと述べた。

生徒たちは福井市に期待するウェルビーイングについて意見交換した | 福井大学

東桜街区でのプロジェクトは2022年に「レベル3:コラボレーティブスマートシティ認証」を取得した。レベル4では、レベル3で実装したプロセスの成果を測定し、成功していることが求められる。東桜街区のレベル4認定は、韓国の世宗市に続き世界で2例目だった。

共有ワークプレースとその混雑状況を示すシステム、人工知能(AI)を活用するセキュリティシステム、本街区で起きていることの情報共有アプリなど、東桜街区にはさまざまなアイデアやテクノロジーが導入されている。これらの成果は実際の使用状況や、コミュニティの各種チャネルから収集するデータ、テナントのオーナーや従業員、住民などステークホルダーを対象に年数回実施するインタビューの結果に基づき測定される。東桜街区の場合、これらのデータと住民の要望やニーズから学ぶことにより、継続的な成長と改善を可能にしていることが認定につながった。

8月にはSSPPと福井大学、地元自治体、グループ会社との合同企画として、福井大学のオープンキャンパスイベントで中高生向けワークショップを開催した。福井市の魅力について若者にもっと関心を持ってもらい、地元の特色を生かした住民のウェルビーイングを高める街づくりについて議論することを狙ったものだ。

ワークショップは3部構成で行われた。第1部ではNTTコミュニケーション科学基礎研究所が開発したカードを使い、ウェルビーイングの理解を深めることを目的とした。32枚のカードはそれぞれウェルビーイングの異なるタイプやレベルを示しており、「I(自分個人のこと)」、「WE(近しい特定の人との関わり)」、「SOCIETY(より広い不特定多数の他者を含む社会との関わり)」、「UNIVERSE(より大きな存在との関わり)」の4つのカテゴリーに分類される。参加者にカードを選んでもらい、自分にとってウェルビーイングとは何を意味するのかを考えて話してもらった。

第2部では「Sugatami」を活用し、福井市の特色・特徴の発見に努めた。SUTATAMIとはコミュニティを主観的・客観的に評価し、その強みと課題を可視化するデータドリブンなプラットフォームだ。

最後に第3部では、生徒自身が福井市で実現したいウェルビーイングについて意見交換した。大成氏は、総勢67人が参加したこのイベントを大成功だったと評価。「参加者のポジティブなフィードバックから、生徒たちに自分のことだけでなく他人のウェルビーイングについて考える機会と、故郷についてもっと知り、データをどのように解釈するかについて学ぶきっかけを与えられたのではないか」と振り返る。

SSPPは11月22日、住民のウェルビーイングを重視したスマートで持続可能な都市開発の事例から学ぶオンラインフォーラムを主催する。大成氏は「SSPP会員自治体がプロジェクトのストーリーを共有し、街づくりについて参加者がいっしょに学び考える場をつくりたい」と抱負を語った。

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