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航空会社ANAが取り組む、※ CO2排出量を大幅に低減できる新しい航空燃料(SAF)利用の試み。

November 29, 2021

ライター:中和田ミナミ

2021年9月29日、成田-フランクフルト便で、SAFを使用した貨物便を運航。プログラムに参画した<日本通運><近鉄エクスプレス><郵船ロジステイクス>の3社に第三者機関により認証を受けたCO2削減証書をANAが発行した。
写真提供/ANA

脱炭素社会の実現へ向け世界中の国が連携して温室効果ガス排出削減に取り組もうとしているなか、産業界もどのような方法でそれを具体的に実現していくか、模索が続いている。なかでも航空業界は、そもそも燃料を燃やすことでヒト・モノを、世界中に運ぶことで成り立っている産業である。つまり温室効果ガス排出を前提として成り立っているとも言える。もちろん移動や輸送を制限すれば温室効果ガス排出を減らせるだろう。しかし私たちは、仕事・レジャーにと国から国へと移動し、航空貨物で運ばれてきた食品をレストランや家庭で堪能し、日々の生活をおくっているのもまた事実だ。

2021年10月14日 「SAF Flight Initiative」プログラムを発表した。
写真提供/ANA

そんな二酸化炭素排出を前提に成り立っている航空業界にあって、ひとつの大きな取り組みがある。それがSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の導入である。SAFとはジェット燃料としても使用可能な「CO2排出量を大幅に低減できる新しい航空燃料」のことで、欧州に拠点を置く学術的なNGOであるRSB(Roundtable on Sustainable Biomaterials:持続可能なバイオマス燃料円卓会議)やISCC(International Sustainability and Carbon Certification:国際持続可能性カーボン認証)など、ICAO(International Civil Aviation Organization:国際民間航空機関)が認める独立した第三者機関により認定されたものを指す。

まさに航空業界の脱炭素対応における救世主的な存在のSAFだが、その導入・活用には現時点では困難が伴う。そもそもSAFの生産量は世界中で使用されているジェット燃料の0・03%しかなく、またその製造コストも現時点では数倍と通常の燃料に比べ割高だ。ATAG(Air Transportation Action Group)によれば、現在0.03%に過ぎないSAFの流通量は、2030年度においても、全需要の2.5%~6.5%に過ぎないだろうと予測している。SAF生産にはベンチャーを含め石油会社でない企業も取り組んではいるが、商業生産の目途を立てている企業はまだ多くない。また航空業界だけでなく、amazonなどといった物流関連企業もSAFの調達に乗り出しており、世界中でSAFの争奪戦が繰り広げられているという現状だ。

そのようなSAFを取り巻く状況の中、一早くその活用に着目し行動してきた航空会社がANA(All Nippon Airways:全日本空輸)である。ANAは現時点において、日本で唯一、商用ベースでSAFを活用できる航空会社となっている。2011年のSAF開発ベンチャー企業への出資を皮切りに、2012年に初めてSAF燃料を使用したフライトを実施。2016~17年には本格的にSAF利用に向けた行動を開始し、航空会社だけではなく、物流を行う航空輸送利用企業を巻き込み、SAFの調達力強化・量産化していく方向へ目を向けさせている。

ANAが取り組む脱炭素化の新プログラムに「カーゴ・プログラム」がある。これはSAFを航空貨物輸送に使用した際、第三者機関により認証を受けたCO2削減証書をANAが発行、契約した企業に提供するというものだ。今年2021年9月に成田―フランクフルト便でSAFを使用した貨物便を運航。プログラムに参画した<日本通運><近鉄エクスプレス><郵船ロジステイクス>の3社にCO2削減証書を発行した。またこの取り組みの他に、早期に「コーポレート・プログラム」を実施する意向だ。これは出張者向けのプログラムで、ANAと契約した企業が出張でANA便を利用した場合、契約企業に対し、第三者機関により認証を受けたCO2削減証書をANAが発行するというものだ。

2020年10月、フィンランド<NESTE>社からSAFを調達した。
写真提供/ANA

世界的な脱炭素化の流れは加速するばかりで、ますます企業の環境に対する姿勢が問われている。SAF利用には、航空会社だけではなく、SAF製造会社、航空輸送利用会社など、サプライチェーン全体で取り組んでいく必要がある。その取り組みはまだ始まったばかりだが、動向に注視したい。

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