May 29, 2021
【本田 桂子】コロンビア大学の本田教授が期待する、ESGの成長
本田 桂子
コロンビア大学 客員教授
温暖化による異常気象が大企業の利益の変動要因となる時代になったこともあり、非財務指標である「E」「S」「G」を織り込むESG経営が注目されている。
Global Sustainable Investment Allianceの調査によると、2018年には、欧州では当該調査に参加した機関投資家の運用資産の49%、米国では25%、日本では18%がESG投資にむけられた。
日本では、2017年のGPIFのESG投資の開始に伴い、ESG投資が急速に増加している。
気候変動問題に関しては、欧州のみならず、米国、中国も重要課題と認識し、2050年にエミッションゼロという明確な目標が欧米日で共有され、中国も2060年にはゼロにすると宣言した。
日本が気候変動問題に取組むにあたり、2点留意しなくてはいけないことがある。一つは、地球にとって非常に重要な問題だという認識が必ずしも共有されていないこと、そしてもう一つは、日本は二酸化炭素の排出量において、先進国だと思っている人がたくさんいることだ。
日本の一人当たり二酸化炭素の排出量は、米国・カナダよりは少ないが、イギリス・フランス・イタリア・ドイツ、そして中国より多いのが実情だ。
地震による発電源の見直しもあり、電力の安定供給が課題であるのは理解できるが、地球を諸外国と共有していて、経済的には第三位の大国である日本において早期の気候温暖化問題に対する対処が待たれる。