利益とESGへの目標を切り離すことなく取組む企業が、成功を収める

May 29, 2021

Ken Shibusawa
COMMONS ASSET MANAGEMENT, INC. EXECUTIVE CHAIRMAN AND ESG CHIEF EXECUTIVE OFFICER

Japan Times ESG推進コンソーシアムが主催した、「ESG経営シンポジウム」では、プログラムの一つとして「ESG推進とステークホルダーとのコミュニケーション戦略」をテーマにモデレーターにコモンズ投信株式会社 取締役会長 兼 ESG最高責任者 渋澤 健 氏、パネリストは日本ロレアル株式会社 代表取締役 Jerome Bruhat氏、不二製油グループ本社株式会社CEO 補佐 河口 眞理子 氏、株式会社LIXIL 取締役Chief People Officer Jin Montesano 氏の3名をお迎えし、英語によるパネルセッションが行われた。

植物性油脂、業務用チョコレートの大手メーカーである不二製油グループ本社株式会社CEO補佐の河口氏は、日本におけるESGへの意識向上にいち早く貢献してきた人物の一人だ。モデレーターの渋澤氏は「ESGという言葉が生まれる前からESGに関わってきた存在です」と河口氏を紹介。控えめでありながら、明るい女性リーダーである河口氏は、自身の30年の経験から次のように語った。「ESGにおいて、最も重要な要素は消費者です。環境にやさしい製品をいくら生産しても、価格が10%高いが故に消費者に購入してもらえなければ、会社はそれ以上提供することはなくなり、投資家はESGの問題に注目しなくなります。」

Mariko Kawaguchi
FUJI OIL HOLDINGS INC., ASSISTANT TO CEO

河口氏は消費者の意識にも確かな変化が見られると言う。IBM Institute for Business Value of Americanが実施した2020年のグローバル調査(28か国の18,980人の消費者を対象に調査を実施)では、 調査対象の消費者の10人に6人近くが、環境への影響を意識し、買い物の習慣を変えようとしている。 そして回答者の10人に8人近くが、持続可能な社会は重要であると答えている。

このような流れを受け、河口氏は従来からこの取り組みでは日本で先行していた不二製油グループに昨年から参画し大きな変化となる継続的な取り組みの推進活動を支援している。

河口氏はスライドの中で、児童労働やその他の不公正な慣行を撲滅するため地元のNGOと協力しているサプライチェーンについて説明、そして衛星を使用して、ヤシの木の森林破壊をモニタリングする方法についても紹介した。

Jin Montesano
LIXIL CORPORATION, DIRECTOR, EXECUTIVE VICE PRESIDENT, CHIEF PEOPLE OFFICER

株式会社LIXILでコーポレートレスポンシビリティ分野を統括する執行役専務Montesano氏は、「存在意義(パーパス)」は企業活動において、非常に重要だと語った。

「LIXIL はM&Aを通じて、複数の企業を統合して成長してきました。そのため、企業としての存在意義は何なのか、私たちは常に考えていかなくてはなりませんでした」。その答えを出すため、Montesano氏は最初に、合併した5つの会社の共通点を定義することから始めた。 「私は一連のワークショップを行い、この会社の中核となるのは何であるかを見つけようとしました。」こうして体系的に自社分析をする中で、LixilはESGの観点から貢献ができる分野を特定し、大きな目標を設定。「グローバルな衛生課題の解決」と「水の保全と環境保護」の取組みだ。シャワーヘッド、トイレなどの家庭向けの製品を改善することで、Lixilの取組みは加速した。 「当社の環境フットプリントの90%は、Lixil製品の使用時に発生しています。これらは耐久消費財であり、大きな影響を与えるものです。毎日10億人が当社の製品を使用しているのですから。」

Lixilの戦略の最後の柱は、ダイバーシティ&インクルーション(D&I)だ。Montesano氏にとって、この目標に取り組むことへの意義は明確なものだ。「もし私たちがサービスを提供するコミュニティーの多様性を反映できなければ、成功を収めることはできないでしょう。」

Jerome Bruhat
NIHON L’OREAL K.K., PRESIDENT AND REPRESENTATIVE DIRECTOR (ONLINE PARTICIPATION)

3人目のパネリスト、日本ロレアル株式会社 代表取締役社長 Jerome Bruhat氏の使命は、Montesano氏や河口氏のような先駆的な仕事とは違う。 「私はグローバル戦略を適用し、それを日本の環境と結びつける方法を見つける立場にあります。」

Bruhat氏は、ロレアルの取組みに関しシンプルだが原理原則に基づいていると説明した。「ロレアルでは、地球保護と社会保護の目標を結びつけています。この二つの間に違いや区別はありません。」これを理解した上で、ロレアルチームは、SDGsの男女共同参画と気候変動対策を主な目標とした。

Bruhat氏はスライドで、日本ロレアルが取組む事業のあらゆる側面に集約された「柱」、「プログラム」、「成果」について詳しく説明。カーボンニュートラルは2022年までに達成される見込みだ。日本のシングルマザーのための継続的な職業訓練プログラムは、現在就業中の何百人にもおよぶ女性に力を与えている。女性科学者のためのフェローシップは日本の女性研究者にスポットライトを当てており、女性のエンパワーメント・アドバイザリー・ボードも設置された。

Bruhat氏はまた、Montesano氏が提起したのと同じ課題、「目的」についても取り上げた。彼は若い世代が企業の「目的」に注目していると感じる場面について紹介した。 「私は世代の変化に驚いています。 採用面接をすれば、ほとんどの人が“コミュニティに貢献するために何をしていますか?”と聞いてきます。ロレアルでは事業の中だけでなく、従業員一人一人がこの質問に個人として答えることが可能な取組みを行なっています。 ロレアルには“Citizen Day(シチズンデー)”と呼ばれる社会貢献活動に参加できる日があります。私自身は川の掃除に参加しました。老人ホームを訪ねる人もいました。従業員は、社会と関わるための仕組み、時間、リソースを会社が提供していることを非常に誇りに思っています。」

今日、多くの人々がESGへの取組みを判断材料として、購入するブランドや仕事先を選択している。 シンポジウムのパネリスト達によって、一部のビジネスリーダーは「利益とESGへの目標を切り離すことなく取組む企業が、成功を収める」という考えを支持していることが明らかになった。

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