日本人がよく使う言葉のひとつに、「MOTTAINAI」があります。これは“物事が本来持っている、能力や使い道などを、活かし切らずに失うのは、無駄にしてしまって惜しい”ということを表す言葉です。これを英語に置き換えると、「wasteful」が一番その意味に近いかもしれません。でも単に「無駄」とか「浪費」という意味だけではありません。

「もったいない(勿体ない)」は、約500年~600年前の室町時代から使われている言葉だそうですが、無駄にしてしまって心が痛む、浪費をしたらバチが当たる(天罰がある)といった、日本人が生活の中で長年育んできた、自然や物に対する「敬意」や「慈しみ」、「畏れ」などのニュアンスを含んでいます。

みなさんは、針供養をご存じでしょうか? 古くなったり折れたりした縫い針を神社や寺に納め、供養する日本の伝統行事です。古くは約1200年前、平安時代の頃から行われてきたと言われるこのことからは、人間が作る道具にさえ、敬意や慈しみ、畏れを持って接する日本人の考え方や精神性が見て取れます。

消費削減(reduce)、再利用(reuse)、再使用(recycle)が特に叫ばれる今の時代ですが、日本人も含め、私たち現代人に足りないのは、自然や物に対する尊敬の念(respect)ではないでしょうか。自然や物に対する感謝の気持ち、愛情の心がないとサステイナブルな生活は上手く続けていけません。今回の特集では、日本文化の中に根付く「MOTTAINAI」の実例を見ながら、私たちのこれからの生活を考えてみたいと思います。

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