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『地球に優しい』といった曖昧な言葉はいらいない。新ブランドが掲げる、服作りへの取り組み。

August 30, 2021

ライター: 塚田有那, TRANSLATOR: ELEANOR GOLDSMITH

100%再生ポリエステルを使用、壺のような丸みのあるシルエットが特徴。
撮影:鷲崎浩太郎

2020年、日本政府は「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」と発表した。あらゆる産業が脱炭素化を求められるなか、実際のところ具体的なアクションはどこも試行錯誤の段階で、明確な実績を打ち立てられている企業は多くない。ファッション業界でも「オーガニック」や「エコロジー」を商品アピールに掲げる企業は増えてきたが、消費者にとって、実際に何がエコロジーなのか、曖昧でわかりづらいのが現状だ。

2種類の再生ポリエステル素材を袋状に編むことで独特のテクスチャーが生まれている。
撮影:鷲崎浩太郎

そうしたなか、2020年に起業したファッションブランド<CFCL>は、企業のトレーサビリティを掲げている。デザイナーの高橋悠介に話を聞いた。

「CFCLの最大の強みはコンピュータ・プログラミングを駆使したニットの製造です。コンピューティング・ニットは裁断やパターンを行わず、糸から直接服のフォルムを作り出せるので、生産過程でゴミをほとんど出さないことが特徴です。また糸から直接服を作れることも強みであるため、再生ポリエステル素材を中心に使用しています」。

そう語る高橋は、環境配慮への戦略を練る専門職「CSO(Chief Sustainability & Strategy Officer)」の担当を自社内に配置し、起業1年目にして「B Corp」(環境や社会に配慮した事業を行う企業に与えられる国際水準の認証制度)に申請するなど、ファッションブランドとしては異例の試みを続けている。なぜここまでサスティナブルの方向へ舵を切れたのか。高橋によれば、「2020年は環境問題とビジネスが直結した年」だと言う。

<CFCL>の2021年秋冬コレクション。
写真提供:CFCL

<CFCL>の2021年秋冬コレクション。
写真提供:CFCL

「2019年に娘が生まれ、彼女たちがこれから生きる時代に向けて、自分たち親の世代は何ができるかを強く意識するようになりました。いま世界的にもサスティナブルへの意識が高まる中で、ブランドの立ち上げ時だからこそ、時代に沿った環境配慮への姿勢を最初から構築できると思ったんです。そのひとつとして、ファーストコレクションの発表時からドレス1着あたりの温室効果ガス排出量を公表しています。ここではLCA(Life Cycle Assesment)といって、製品の原料調達から廃棄処分までのライフサイクルを通じて、地球環境にどの程度影響を与えているかを国際規格ISO14040に基づいて算出する手法を基準としています。『地球に優しい』といった曖昧な言葉ではなく、具体的な数値を示すことがこれからの企業にとって必要な姿勢だと考えているんです」。

髙橋悠介1985年、東京生まれ。2013年にISSEY MIYAKE MENのデザイナーに就任、2020年に株式会社CFCLを設立。
撮影:鷲崎浩太郎

自社だけでサスティナブルは実現しない。今後さらなる二酸化炭素排出量の抑制を進めるには、関連企業の協力も重要になってくると高橋は言う。

「いま<CFCL>では、仕入先であるメーカー企業にも、サスティナブル調査を行うアンケートを実施したり、工場の電力源を再生可能エネルギーに変換するよう推奨するなど、関わる企業にも環境配慮への働きかけを行っています。もともとファッションというのは、自分の意志を社会に表示するメディアだと言われてきましたが、いまこそファッション・デザイナーは社会の意識を変える発信者になれると思うんです。ファッションは市場も大きく、服を買う人々の意識が変われば、社会も変わっていく。売上や事業拡大を目指すのではなく、社会を良くする装置として、これからの生き方を示すような企業でありたいと考えています」。

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