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ジャパンタイムズが日本の地方に注目する理由。Destination Restaurants 2021を振り返る。

June 24, 2022

By TOSHICHIKA IZUMI

海外の評価機関を母体にしたレストランガイドやランキングではなく、日本の風土や精神性などを反映させた、日本発信のレストラン・セレクションをできないか。そんな考えから生まれたのが、日本人が選ぶ、世界の人々のための、日本のレストランリスト、「Destination Restaurants」である。東京は、例えば「ミシュラン」ガイドで言うところの世界一星の数が多い都市とも言われ、レストランに対する評価は高い。しかし、そのランキングなどはワールドワイドな視点や価値観で選ばれているという現状があり、日本の細やかな調理法や食材、地域性に至る細部にまで、本当に目が行き届いているかと言われれば疑問が残る点があることも事実だ。そもそも、1897年(明治30年)に創刊されたジャパンタイムズは、当時日本にあった、外国人が外国人の目で見た日本を伝える英字新聞では日本が伝えたい情報が発信されていない、という課題を解決するために創刊したという歴史がある。そのフィロソフィに立ち、日本の食文化を、日本人が選び、伝えたい。そんな思いから、この企画は2021年にスタートした。

「Destination Restaurants2021」を取り上げた、ジャパンタイムズ発行のスペシャル・ペーパー。

今年第2回目の選定も含め、選考は、辻芳樹、本田直之、浜田岳史という、国内外のレストラン事情に精通し、何よりレストラン文化を愛してやまない3氏が行っている。彼らは選考の前提条件として「東京23区と政令都市を対象から外す」ということを掲げた。その理由は3つ。「日本の食文化の特徴・特色は、都市部ではなく地方にあること」「地方に埋もれがちな食の担い手の才能の発掘に寄与すること」「既存のレストランガイドやセレクションとの差別化を図るため」である。

ジャパンタイムズでは近年特に、日本の地方の人や街の取り組みに着目し、その活動の一旦を紹介してきている。持続可能な社会や環境を考えるうえで、地方にあるレストランの地域社会に対する役割は重要である。なぜなら、世界中からゲストを集めるレストランが地域経済に及ぼす経済効果は大きく、その存在は、地域の農業や漁業に刺激を与え、活性化を促す作用があるからだ。また、それは経済的な側面だけではなく、その地域が持つ食文化や自然の豊かさを次世代に残し、その地域に住む人々の誇りを取り戻すことにも繋がる。

日本は国土の7割を森林が覆い、南北に長く、世界で6番目に長い海岸線が取り囲むという特徴を持ち、気候や動植物の種類も多様性に富んでいる。そんな日本の濃密な自然を舞台に、そこでしか体感できない料理や、店へたどり着くまでの風景や道のり、またシェフの創造性を味わう。そんな新たな体験を導くものとして、「Destination Restaurants」では、訪れるべきレストランを毎年10店ずつ選んで発表していく。この取り組みにぜひ注目して欲しい。

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