March 28, 2025

フラワーアーティスト、ニコライ・バーグマンが語る、花が持つ癒しの力。

ライター:斎藤理子

東京の南青山にあるニコライ・バーグマンの旗艦店『ニコライ バーグマン フラワーズ & デザイン フラッグシップ ストア』にて。カフェが併設された花屋で、いつも人で賑わっている。
PHOTO: TAKAO OHTA

第二次世界大戦の空襲により市街地の8割が焼失した広島県福山市。“荒廃した街に潤いを与え人々の心に潤いを取り戻す”ことを目的に、市民の手で御門町南公園(現在のばら公園)に薔薇の苗木約1000本を植えたのが“ばらのまち福山”の始まりだ。終戦から80年、現在ではばら公園を中心に市内の至る所に100万本あまりの薔薇が植えられている。

2025年5月にはその福山市で『第20回世界バラ会議福山大会』が開催される。世界バラ会議は、世界40の国・地域のバラ会が加盟する世界バラ連合が3年ごとに開催する世界大会。大会には、薔薇の研究家、生産者、愛好家、芸術家など、世界中から関係者約600~700人が一堂に会す。薔薇についての知識の啓蒙や普及、研究の促進など、薔薇に関するさまざまな課題の解決法を議論すると共に、世界中の愛好家の交流、情報交換の場として機能する大会となっている。

2024年4月、箱根にオープンした「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」。原生林を整地し、敷地内を散策したり、ピクニックを楽しめるほか、カフェも併設されている。
https://hakonegardens.jp/
COURTESY: NICOLAI BERGMANN FLOWERS & DESIGN

今回『第20回世界バラ会議福山大会』のアンバサダーを務めるのが、デンマーク出身のフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマン。彼は2016年に《ばらのまち福山PR大使》に就任して以来、福山市と深い関わりを持ち続けてきた。『世界バラ会議福山大会』開催の100日前にあたる今年2月7日には、福山駅に隣接する商業施設「さんすて福山」で記念イベントが開かれ、薔薇のインスタレーションやライブパフォーマンスを披露。大会の前哨戦として盛り上がりを見せた。

「フラワーアーティストとして、自分の仕事と名前を通じて“ばらのまち福山”を盛り上げていくことができるのはとても嬉しいことです。福山市では2018年に、<ニコライ バーグマン ふくやま ローズ>という名前の新しい品種の薔薇を作ってくれ、それがJR福山駅前に咲いています。自分の名前を薔薇につけてもらえるということも大変光栄に思っています」。流ちょうな日本語で福山大会アンバサダーとしての意気込みを語る。

母国デンマークでフローリストとしての職業訓練を終え、1996年に卒業旅行で訪れた日本に魅了されたニコライ・バーグマンは、1998年には再来日し、日本でのキャリアをスタートさせる。その彼の名前を一躍有名にしたのが、2000年に発表された「フラワーボックス」という、箱に花を敷き詰めたアレンジメントだ。当時、ファッションブランドから、パーティで生花を配りたいが会場に積み重ねて置いておきたいとの困難極まりない依頼があった。その要望にどう応えるか。その試行錯誤の末に生まれたのが、黒いギフトボックスを開けると花が箱一面に敷き詰められているという画期的なアイデアだった。このフラワーボックス・アレンジメントは一世を風靡し、世界的人気のヒット商品となった。今や世界中でフラワーギフトの定番となっているフラワーボックスも、今年で25周年を迎えるという。

”フラワーボックス“誕生25周年記念で、デンマークのデザイン会社とコラボレーションして制作した木製の“フラワーボックス”の箱。折り紙に着想を得て作られた。
PHOTO:TAKAO OHTA

日本のファッションブランド<FACETASM>とコラボレーションした“フラワーボックス”。ホワイト系の薔薇・カーネーションをメインにした、デザイナー落合宏理のエッセンスが光る25周年記念ボックスだ。
PHOTO:TAKAO OHTA

「定番商品が25年もの間人気であり続けているのは素晴らしいことです。でも人気があるからと言って同じものを作り続けるのではなく、常にイノベーションを心がけ斬新なものを作るようにしています。25周年記念として、日本のファッションブランド<FACETASM>とのコラボレーションを発表しました。また、デンマークのデザイン会社とコラボレーションした、折り紙をイメージして作った木製の箱を使った作品を発表します。和と洋の融合をボックスで表現したかったんです。さらに長年親しまれているキャラクターとのコラボレーションボックスも発売する予定です。また、日本各地やデンマークでフラワーボックス25周年記念の展覧会も開催するので楽しみにしていてください」。

2022年4月には、箱根の強羅に『ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ』を開業させた。8年以上もの構想を経て完成した約8500坪もの広大な庭園は、単なるフラワーガーデンではなく、大自然と人とが繋がり、その時々の季節を全身で楽しめる場所になっている。原生林で覆われていた未開の地を整地し、歩道や階段、グラスハウスであるパビリオン、そしてカフェなどを作り上げた。自然を守ることをプロジェクトの核としたこのガーデンでは、箱根に生息する植物や花、動物、鳥など特有の生態系に触れられるのも特徴で、箱根にある石や枝、落ち葉などを利用してバーグマンが作ったオブジェは、ここでしか見ることができない貴重なものだ。

日々の暮らしに花があると、精神的にとても良い影響があるとニコライ・バーグマンは語る。その理由は、季節を感じ、自然と共に生きているという実感が生まれるからだと言う。

ニコライ・バーグマン自身の名前が付いた<ニコライ バーグマン ふくやま ローズ>。品種改良により2018年生まれた薔薇だ。
COURTESY: NICOLAI BERGMANN FLOWERS & DESIGN

そして、まずは一本の花を、暮らしに取り入れてみることから始めると良いとアドバイスする。

「花をどう活けるかではなく、花自体を楽しむことを目的にしてください。シンプルなスタートでいいんです。毎日、花に水やりをしたり、変化を見守るのはメディテーションにもなります。花がそこにあるだけで、自分でも気づかない良い変化が精神面に生じます。花のある暮らしは生活を豊かにしてくれるんです」。

彼にとって花は、アーティストとしての自分の創造力を表現する大事なツールであると同時に、花には人を癒す力と、人の精神をリフレッシュする力があり、花がない人生は考えられないと語る。毎年、クリエイティビティやスケール感が前年を超えることを目標にしているという彼は、さまざまな分野でのコラボレーションにも挑戦しながら花の素晴らしさと花が持つ力を伝導している。天賦のグリーンフィンガーズの才能に加えて、天才的な感性と弛まない努力とが生み出すニコライ・バーグマンの創造的な花の世界から目が離せない。

COURTESY: FUKUYAMA CITY

COURTESY: NICOLAI BERGMANN FLOWERS & DESIGN

『世界バラ会議福山大会』開催の100日前にあたる2025年2月、JR福山駅に隣接する商業施設で記念イベントが開催され、ニコライ・バーグマンは、薔薇のインスタレーションやライブパフォーマンスを披露した。

ニコライ・バーグマン

1976年、デンマーク・コペンハーゲン生まれ。1998年、フラワーアーティストとして日本でのビジネスを始動。2000年、フラワーボックスアレンジメントを考案。2001年、<Nicolai Bergmann Flowers & Design>ブランド創設。2016年、広島県福山市の《ばらのまち福山PR大使》に就任。2017年、日本・デンマーク外交関係樹立150周年親善大使に就任。同年広島県福山市ばらのまち福山PR大使に就任。著書に『いい我慢 日本で見つけた夢を叶える努力の言葉』など。2025年3月27日に高輪ゲートウェイシティに新店舗をオープン。
https://www.nicolaibergmann.com/

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