March 27, 2026
「Destination Restaurants 2025」を振り返る(前編)。 – シェフの連携により生まれるガストロノミー・ツーリズム。

PHOTOS: TAKAO OHTA
2021年に発足したジャパンタイムズが主催する日本発信のレストランセレクション「Destination Restaurants」。5年目を迎えた2025度に選ばれた10軒の取材を終えた今、この年の傾向を2回にわたってリポートする。今回はその1回目である。
日本全国、数百軒のレストランから、その年の10軒が選ばれ、さらにその中から、その年を象徴する1軒が選出される。「The Destination Restaurant of the year 2025」に輝いたのは富山県『ひまわり食堂2』だが、富山県のレストランが「of the year」を獲得したのは2021年の『レヴォ』に続いて2軒目だ。また2023年には『御料理 ふじ居』、2024年には『海老亭別館』が「Destination Restaurants」に選出されている。これは単なる偶然ではない。
というのも、毎年、全国津々浦々のレストランから上位10軒を絞り込むにあたり、特定の地域の店が競り合うことが増えているのだが、そのような地域ではシェフたちの強い連携が見られるのだ。食材はもちろん、器に至るまでよい生産者を発掘し、紹介し合い、また料理の勉強会を行うなどして、みんなで成長し、経済的にも発展していく。シェフ主導で食中心の地方創生を巻き起こす地域は、当然のようにレストランそのものの成長も著しい。富山県はその最たる例と言える。
また、今年の10軒のうちのひとつ、イタリアン『ノンナ・ニェッタ』が位置する茨城県も近年、シェフたちの連携が注目されるエリアだ。ここでは日本料理やフランス料理、中国料理など、ジャンルを超えてシェフたちが活動を行っている。地元の生産者や技術に関する情報交換、勉強会に加え、江戸時代にこの地域を治めていた領主、徳川家に伝わるレシピをもとに県内のレストランやホテルが料理を作りイベントも実行。それらの積み重ねによって、シェフたちの意識も大きく変化し、ガストロノミーに強い県へと変貌を遂げつつあるのだ。
一県に何軒もよいレストランがあれば、地域内でのガストロノミー・ツーリズムが可能になる。それは名勝や史跡がない場所にも、新たな、そして非常に魅力的な観光資源を作ることができるという可能性をも示唆する。今後もシェフが連携を強める地域のレストランが躍進する流れは、止まらないだろう。


富⼭県富⼭市神通本町1-5-18
https://r930900.gorp.jp

田中穂積(たなか ほづみ)
1975 年、富山県富山市生まれ。27 歳で料理人を志し上京。『テラウチ』など都内のイタリアンレストランで修業を積み、イタリアでも 1 年半腕を磨く。2013 年、富山市にカジュアルなイタリアンレストラン『ひまわり食堂』を開く。2024 年 3 月末、ガストロノミーなレストラン『ひまわり食堂 2』をオープン。


茨城県つくば市並木3-26-28
Instagram: @nonna_nietta_

川村憲二(かわむら けんじ)
1978年、茨城県土浦市生まれ。2007年渡伊、各地で郷土料理を学び、2014年に帰国。2021年3月つくば市で『ノンナ・ニェッタ』を開業。地元のシェフたちと料理ジャンルを超えた交流を深め、茨城県の食シーンを盛り上げている。





