November 24, 2023

今、この住宅の継承者を探しています。

ライター:中和田ミナミ

PHOTO:EIJI KITADA / まるひ邸(樋口邸)

どんなに優れた建築であっても、個人所有である点で住宅の継承はきわめて難しいテーマだ。価値ある住宅とその周辺環境を守るべく活動する一般社団法人<住宅遺産トラスト>では、「住宅遺産」を次世代に継承してくれる人を探している。我こそはと思う人は、住宅=「社会みんなの共有財産」「文化的な社会資本」という思いで、所有者となって欲しい。


<管の家>
1983年竣工

設計:高橋公子+高橋鷹志/建築ユニット設計事務所
所在地:東京都世田谷区
敷地面積:466.26㎡
延床面:220.82㎡
構造:コンクリートブロック・鉄骨造2階建

高橋公子(1932‐1997)は日本の女性建築家のパイオニアの一人。その高橋の自邸及びオフィスとして作られた住宅。鉄骨のパイプがカゴ状に編まれた構造で、それが大空間を生み出している。素地のコンクリートブロック使いや、亜鉛板の外壁などが印象的だ。

PHOTO: SHUNICHIRO HACHIGA

<まるひ邸(樋口邸)>
1968年 竣工(1981年増築)

設計:吉阪隆正+U研究室
所在地:東京都世田谷区
敷地面積:257.00㎡
延床面積:209.3㎡
構造:RC3階建て+地下1階

ル・コルビュジエの弟子としても知られる建築家・吉阪隆正設計の住宅。施主の樋口博一と吉阪隆正が共に山岳登山家であったことからだろうか。荒々しいコンクリート打ち放しの外観や、複雑に入り組んだ内部空間が印象的な住宅だ。

PHOTOS: EIJI KITADA

PHOTOS: EIJI KITADA

<数江家住宅>
1939年竣工

設計:松ノ井覚治(ヴォーリズ建築事務所)
所在地:東京都大田区
敷地面積:1201.06㎡
延床面積:405.99㎡
構造:木造平屋一部2階建+地下室

スバニッシュ風の外観に、内部は本格的な数寄屋風のデザインを備えた和洋折衷住宅。建築時の施主婦人が茶の湯を嗜むことから茶室を中心とした、本格的な茶事のできる住宅として建てられた。庭に茶室「香積庵(こうせきあん)」を擁する。

PHOTOS: SHIRO SUDO


<地の家>
1966年竣工

設計:篠原一男
所在地:東京都練馬区
敷地面積:175.69 ㎡
延床面積:77.1㎡(母屋床面積:51.1㎡、地下床面積:26.2㎡)
構造:木造平屋+地下室

2022年、ドイツのヴィトラキャンパスに移築された「から傘の家」(1961年竣工)の設計でも知られる建築家・篠原一男(1925-2006)による住宅。この小さな住宅は、記録映画の演出・脚本家のために作られたもので、地下部分に寝室が設けられている。

COURTESY: HERITAGE HOUSES TRUST

<老梅院茶室>
江戸時代後期(推定)

設計:不明
所在地:岩手県盛岡市
敷地面積:2265.20 ㎡
延床面積:88 ㎡(27 坪)
構造:木造平屋

現在盛岡市内で一番古く、かつ由緒ある庭園・老梅園の中にある茶室。市の「景観重要建造物」に指定されている。2000㎡を超える日本庭園の中には、この茶室以外にも旧母屋(茶室と同じ棟)、土蔵(41㎡)、現・母屋(1993年解体新築)が建つ。

COURTESY: HERITAGE HOUSES TRUST

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