March 10, 2025

【野村総合研究所】過去の支援経験を踏まえ、能登半島で復興計画を支援

Sustainable Japan Network

Discussion that took place at the the reconstruction and future creation conference | NRI

2024年1月1日に石川県能登半島を襲った大地震は、地方の高齢化や人口減少という課題を浮き彫りにした。しかし能登半島の中心部に位置する穴水町を再生させることが能登半島全体の復興につながると、野村総合研究所(NRI)の研究員は話す。

NRIは4月、穴水町と復興支援に関する協定を結んだ。NRIはこれまでの復興支援で得た知見と経験を活かしたいと考え、吉村光輝町長が復興計画を共に検討する協力先を求めたことがきっかけだった。元日に起きた最大マグニチュード7.6の地震は、38人の命を奪い、4,115棟の住宅の約半数が倒壊するなどの被害を受けた。水道と電力の供給も止まり、4,000人近くが避難を余儀なくされた。

復興計画を策定するにあたり自治体と住民は、災害避難が地域の高齢化を悪化させる可能性があるという問題に直面した。「単に町を復旧するだけではなく、人口減少が進んでいた中で町の活性化を進めていくために、より発展的な活動を進めていく必要がありました」と、計画を推進するため週の半分を能登に滞在するNRIのエキスパート研究員である坂口剛氏は述べる。

穴水町は、能登半島の交通網の中心地であることから、「奥能登の玄関口」と呼ばれることもある。のと鉄道の終着駅や自動車専用道路があり、羽田行きのフライトが毎日往復2便発着するのと里山空港からも近い。「この町には地理的なポテンシャルがあり、その復興は能登半島全体の復興につながっていくと考えています」と坂口氏は話す。

穴水町は12月27日、災害に強いまちづくり、地域コミュニティとなりわいの再生、子育てと教育の環境づくり、奥能登の玄関口再生という4つのシンボルプロジェクトからなる復興計画を発表した。地域住民が明るい未来を描くことを願う内容だ。

The Noto Kashima station, a famous cherry blossom viewing spot | NRI

NRIの役割は、復興計画のための住民アンケート調査を設計・分析し、地元若手住民を中心とした「復興未来づくり会議」のメンバーからの意見をもとに、穴水町と共に復興計画を取りまとめることだった。同時に、穴水駅周辺の商業エリアの活性化など、具体的なプロジェクトを進めていくための戦略を立て、必要に応じてアイデアの創出や外部の人材・企業の選定などを支援することだった。

もう一つのNRIの役割は、町が活性化するための新しい事業活動を支援することだ。復興計画を踏まえ、先端技術やデジタル技術のノウハウやネットワークを提供する。必要に応じて実現可能性を追求し、関連企業や省庁と連携することで実現を支援する。このような活動には、例えば自動運転サービスや自立分散型インフラが挙げられる。小規模な地域ごとの太陽光発電や小水力発電、蓄電、水循環システム、通信などのインフラを導入すれば、深刻な災害時に地域全体での停電や給水停止を避けることができると坂口氏は述べる。

震災後、住民の支援を困難にしていた原因の一部は、能登半島の特殊な地形だった。山の斜面が迫る海岸線沿いの国道は、津波や土砂崩れに見舞われた。また、一部の港では震災後に地形の変化が見られ、船舶が港にたどり着くことが難しくなった。能登地区の復興には時間が必要だが、これらのインフラについては政府の対応に任せるしかない。

NRIにできることは、2016年の熊本県大地震や2011年の東日本大震災での復興支援で学んだ計画作成の知見と経験を活かすことだった。しかし、過去2回の災害の復興計画が能登のケースに自動的に適用されるわけではない。というのはそれ以降、社会状況は劇的に変化したからだと坂口氏は指摘する。

「過去の復興計画そのものというより、町民の声を丁寧に拾うということが今回の復興計画策定の参考になりました」と坂口氏は続ける。「コロナ以降、世の中は大きく変わりました」

デジタル化が生活に急速に浸透し、多様性という考え方が生活者の中で強まった。それらの変化は大震災後の避難所の設置方法などにも影響を与えていると坂口氏は述べる。

NRIが以前熊本を支援した時の同僚からのアドバイスは、各世代から住民の意見を集めて計画に反映させることだった。坂口氏はこの目的のために調査の質問項目から方法に至るまですべてを見直したと話す。

このアンケート調査のために自治会の会長が高齢者のアンケート回答を手伝ったり、地域のコンビニエンスストアやスーパーマーケットにアンケート調査のポスターを貼るなど、町民の調査への参加を促したりした。「地域住民の声を反映させる方法は大幅に変更しましたが、過去の事例から学んだのは町民の方々の考えや期待していることを丁寧に拾っていくことが何より大切だということです」と坂口氏は話した。


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