August 30, 2024

Vol. 39: FROM THE EDITOR

By YOSHIKUNI SHIRAI / EDITOR-IN-CHIEF

かつて沖縄県の西表島に、私が毎年夏に訪れる秘密のスポットがありました。船をチャーターしてでないと行けないその場所は、一番深いところで15メートルくらいになるでしょうか。海の底にある色鮮やかなサンゴや海藻、そこにいる小さな魚までが、はっきりと見えます。シュノーケリングしながら両手両足を伸ばし、海面に浮かびながら海の底を眺めると、まるで自分が宙に浮いているかのような錯覚にとらわれ不思議な気分になったものです。そのくらい海の透明度が高く美しいのです。

しかし私は2016年の夏を境に、ぱったりとこの場所を訪れなくなりました。そう、石西礁湖で大規模なサンゴの白化現象が起こった年です。その夏、海に潜ってみて唖然としました。サンゴは白化し、魚もいません。海の透明度が高いだけに余計に不気味です。私にかかった魔法が解けた悲しい瞬間でした。

環境省は2016年より石西礁湖にて、目視観察によるサンゴの白化率の調査を行っています。2023年発表の調査報告ではサンゴは回復傾向にあるとも言われていますが、決して予断は許しません。今回の海特集をつくりながら、“あの西表島のサンゴは今、どうなっているんだろうか?”と考えています。

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