February 27, 2026
【センティウ】素材を活かすピュアな味わい、鹿児島県南端のイタリアン。

PHOTOS: KOUTARO WASHIZAKI
今回のレストランは、鹿児島空港から車で90分ほどかかる鹿児島県南部、桜島と陸続きの大隅半島の鹿屋市に位置する。行く際は近隣のホテルに泊まるのもいいが、ランチの予約を入れて、鹿児島市内で宿をとるのもおすすめだ。いずれにしろ、公共の交通機関で行くにはかなり不便なところにある。でも、だからこそ、地方の特色を色濃く感じることができるとも言える。
一軒家で8席のイタリアンレストラン『センティウ』が店を構えるのは、海山の自然に囲まれた住宅街の一画。佐賀県出身のオーナーシェフ、内田康彦が独立するにあたり、この鹿屋市を選んだのには理由がある。
「この街は妻の故郷なんです。前々から訪れるたびに、妻の父が地元の生産者を紹介してくれました。そこで大隅半島の素材に強く惹かれて、ここで料理を作りたいと思いました」と内田は語る。


鹿児島県(イタリアン)
センティウ
鹿児島県鹿屋市新川町587 | Tel: 0994-44-6820
https://www.facebook.com/SENTI.UNatureGastronomy/
自然に囲まれた鹿児島県は野菜も魚介も個性豊かだ。また、畜産産出額が同県の農業産出額の約6割を占めるなど、全国第2位の規模を誇る畜産王国ゆえに、同地で育った質のいい牛、豚、鶏を扱うこともできる。
「肉の旨みのピークがジビエと同じ冬の時期。でも、ここでは家畜の状態が良いので、信頼できる生産者のものを使っています」と内田は言う。
そんなわけで、義父の紹介で出会った家族経営の養豚場『ふくどめ小牧場』が、日本で唯一ここだけで育てている純粋サドルバック豚が通年、『センティウ』で主役を張る。純粋サドルバック豚はイタリアのチンタ・セネーゼに似たイギリス原産の種で、脂身が厚く、濃厚な味わいをもつ。一時は絶滅寸前にもなった非常に希少な豚だ。冬のある日のコース(昼夜¥12,100、¥17,600)ではメインの炭火焼きとして登場する。ほかの料理でも、そのラルド(背脂で作る生ハム)や背脂入りのソーセージが活用される。
内田の作風自体も個性的だ。2018年、店の移転リニューアルを機に、内田は「肉には赤ワインソース」「パスタにはチーズ」というような従来のイタリア料理のセオリーを捨てたのだ。雑味を極力排したピュアな味わいは「日本料理に近い」とも評される。ガストロノミー未開の地、大隅半島の食の未来はここから拓けていくのだろう。

内田康彦(うちだ やすひこ)
1979年、佐賀県基山町生まれ。高校卒業後、福岡県で料理の世界に入る。その後、東京都内のフレンチやイタリアンのレストランを経て、2004年、25歳でイタリアへ。帰国後、「地方で料理を作りたい」という思いから奈良県や三重県のリストランテに勤務。兵庫県のオステリアで4年間、料理長を勤めた後、2012年8月、マダムである広美の故郷、鹿児島県鹿屋市で『リストランテ ウチダ』開業。2018年、同市内に『センティウ』として移転オープン。





