July 26, 2024

Vol. 38: FROM THE EDITOR

By YOSHIKUNI SHIRAI / EDITOR-IN-CHIEF

ひとくちに日本庭園と言っても、回遊式庭園もあれば、石で水の流れを表現した枯山水もあり、規模やテイストは様々です。しかしこれら日本庭園の根底には、日本人が昔から心に抱いている特有の感覚「自然を尊重する心(=自然崇拝)」が流れているような気がしてなりません。古来から滝や山、石や木々などに神々が宿ると信じてきた日本人の精神性を、庭を見ていると私は感じます。

日本庭園には数寄屋や茶室といった建物が必ず建っていますが、そこから庭を眺めていると室内空間が外部空間(庭)の一部に取り込まれ、建物の中にいても自然と一体感を感じることができます。また、ヨーロッパにある庭園のように直線や幾何学で構成され対称性の美がある庭と違い、曲線的かつ左右非対称で自然界を敢えてそのまま再現したかのような、自然を模倣した造形が特徴と言えます。また「見立て」という、“実際にはそこに「ない」のに、まるで「ある」かのように設える作業”も特徴のひとつです。石で水の流れや滝を表現した「枯山水」や、仏教が考える極楽浄土を庭に表わした「浄土庭園」などがその例でしょう。

情報化社会の荒波にもまれ毎日忙し過ぎる現代社会にあって、「日本庭園」を見て自然との一体感を味わい、一瞬人生に立ち止まってみるのも良い気がします。

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