March 11, 2026

循環型経済の実現へ、王子HDがリサイクルと連携を推進

Manami Tominaga Contributing writer
Translator: Tomoko Kaichi

Sustainable Japan Network

グループオペレーション本部リサイクル推進部長の島谷啓二氏 | 王子HD

国内有数の紙・パルプ製品製造大手の王子ホールディングス株式会社は、王子グループが推進するリサイクルの取り組みを象徴する新ブランドとして「Renewa(リニューワ)」を立ち上げた。

同社でグループオペレーション本部リサイクル推進部長を務める島谷啓二氏によると、プラスチック使用の削減や資源循環の動きが広がる中、プラスチックの代替として紙の利用を拡大しようとする動きが加速しているという。

もっとも、プラスチックを紙で代替する、あるいは紙の用途を広げるには、耐水性や強度を向上させるといった、紙素材が本来備えていない機能を付与する加工が欠かせない。こうした特殊機能を持つ紙製品は、製品によってはリサイクルが難しい場合もある。王子はこれらの課題に対する研究開発を重ね、2022年、紙製品のリサイクル強化を目的とした専門チームを発足させた。Renewaは、そうした検討の積み重ねから生まれたブランドであり、紙などのリサイクルと再利用を進めるためのプラットフォームだ。

チームが最初に手がけたのは、紙コップのリサイクルだった。リサイクルにおける重要な課題の一つは、再資源化が可能な使用済み製品を、他のごみと分けて効率的に回収できるかどうかだ。島谷氏は「その点で紙コップは、オフィスや飲食店など使用場所が特定しやすく、比較的回収しやすかった」と振り返る。

紙コップには通常、水漏れを防ぐためプラスチックフィルムがラミネートされた複合素材が使われており、一般的な設備ではリサイクルが難しいとされてきた。ただ、王子には同様の素材で作られた牛乳パックを長年リサイクルしてきた実績がある。島谷氏は「その技術を応用すれば、紙コップも再び紙に戻せると考えた」と話す。回収された紙コップは現在、紙製ハンドタオル、段ボール、ボックスティシュの箱、紙コップのスリーブなどに再生されている。

王子は紙製ハンドタオルのリサイクルにも力を入れている。島谷氏によると、「トイレで使われる紙製ハンドタオルは、手を拭く用途が中心で、比較的状態が良いものが多い」。一方で、水に強い品質であるため、水に溶かして繊維をほぐす従来の紙のリサイクル工程とは相性が悪いという課題があった。王子は独自技術によってこの問題を克服し、使用済みの紙製ハンドタオルを新たなハンドタオルとして再生し、回収元のオフィスや施設に戻している。

オリジナルの再生ボックスティシュ | 王子HD

従来のリサイクルでは、何が回収され、何に生まれ変わり、誰がそれを使っているのかが見えにくい点も課題とされてきた。Renewaでは、製品の生産から回収、再生までを一つの循環として可視化する「クローズドループ」を重視している。島谷氏は、このアプローチによって資源循環への理解が深まり、より多くの人にリサイクルへの参加を促すことができると期待する。「次の段階では、企業だけでなく消費者にも、この循環にしっかり関わってもらいたい」と話す。

廃棄物の回収や処理、リサイクルには一定のコストがかかる。王子では、こうした活動を持続可能なものにするため、参加企業・団体の負担を抑える工夫も進めている。島谷氏は「たとえば、同じ地域で参加する企業が増えればそれだけ、回収や輸送のコストを分担でき、1社あたりの負担は小さくなる」と説明する。

具体的には、既存の廃棄物回収業者が通常のルートで使用済み紙コップを一般ごみとともに回収し、紙コップや紙製ハンドタオルのみを指定された場所で荷下ろしする仕組みを採用している。これに加えてRenewaでは、オフィス用品を配送するトラックが、納品後の帰路で紙コップや紙製ハンドタオルを回収する仕組みを組み合わせている。

島谷氏は「各地域で完結する回収ループを構築することも重要で、その調整役を担うのが私たちの役割だ」と話す。「すでに約15社とリサイクルプロジェクトを進めており、さらに十数社と新たな連携に向けた協議を行っている」という。

たとえば2025年1月には、日本マクドナルド株式会社、日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社、タリーズコーヒージャパン株式会社の外食3社と連携し、近接する東京都内の各店舗から出る使用済み紙コップを回収・再生するプロジェクトを開始した。

同年8月には、東京23区全域を対象とする使用済み紙コップのリサイクルプラットフォームも始動した。花王株式会社、ソフトバンク株式会社、国際紙パルプ商事株式会社の異業種3社と新たに連携し、これらの拠点から年間約1.6トンの紙コップを回収・再生する。参加企業・団体を広く募り、2030年までに年間300トンの回収を目指す。

Renewaの今後の目標として、島谷氏は使用済み紙コップから作る再生品のラインアップ拡充と、全国規模でのリサイクルネットワーク強化を挙げる。王子グループは全国に工場を持つが、すべての拠点にリサイクル設備が整っているわけではない。輸送効率を考慮しながら、可能な限り小さなエリアで回収から再生までを完結できる体制作りを進めていく考えだ。

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