October 21, 2022

【LIFULL】「利他主義」を経営の根幹に。最終目標は「世界平和」

株式会社LIFULL
代表取締役社長 井上高志(いのうえ・たかし)
97年、株式会社ネクスト(現LIFULL)を設立。現在63カ国で不動産情報サービス等を展開。一般社団法人新経済連盟理事、一般社団法人ナスコンバレー協議会代表理事、一般財団法人PEACE DAY代表理事、一般社団法人21世紀学び研究所理事、一般財団法人Next Wisdom Foundation代表理事など。 | Lifull

株式会社LIFULL(ライフル)は日本最大級の不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」の運営をはじめとし、地方創生や介護、女性の子育てと仕事のスキルアップ支援、ブロックチェーンを活用した不動産小口投資など、さまざまな領域で事業を展開する。事業を通じて社会課題を解決し、コーポレートメッセージの「あらゆるLIFEを、FULLに。」の実現を目指している。

Takashi Inoue, representative director and president of Lifull Co. | The Japan Times.

「世界78億人が安心感や喜びに満ちて暮らせる社会を作りたい」。26歳で起業して以来、一貫して「利他主義」を掲げる井上高志社長はこう意気込む。「ウェルビーイング(人類の幸福)」と「世界平和」に資するのが、井上氏個人の最終目標だ。

例えば一言で地方創生といっても、LIFULLでは約10の事業が同時進行している。そのうち「LivingAnywhere Commons(リビングエニウェアコモンズ)」は、住まいという場所の制約に縛られず、「好きな場所で好きなことをして暮らす生き方」を共創する取り組みだ。使われていない企業の保養施設や廃校など日本各地の遊休不動産を長期滞在可能な住居スペースを併設したワークスペースとして再生し、個人や企業に利用してもらう。個人の場合、水道代や光熱費、通信費込みで月2万5000円のサブスク契約をすれば、好きなときに好きな日数滞在できる。「(年間料金の)30万円と食費が何とかなれば1年間暮らせる。テクノロジーの力で将来的に限界費用がゼロに近づけば、少ない収入でも豊かに暮らせる」とみる。現在の全国32拠点を23年までに100カ所の開所を目指し、地域活性化にもつなげたいと期待する。

21年10月には日本駐車場開発など企業や自治体とともに一般社団法人ナスコンバレー協議会を立ち上げ、初代代表理事に就任した。栃木県那須町にある東京ドーム170個分の私有地を米シリコンバレーにちなんで「ナスコンバレー」と名付け、次世代技術の社会実装のための実験場として活用する。富士通、パナソニックとトヨタ自動車の住宅事業合弁会社であるプライムライフテクノロジーズ、博報堂、楽天など参加企業は増えており、ドローンや自動運転車、循環型・自律分散型ライフラインと次世代エネルギー、遠隔医療、フードテックなど複数分野でプロジェクトが進行中だ。

ナスコンバレー発のイノベーションをコモンズの拠点でも展開し、将来は地方創生や途上国の社会課題解決にも応用したいと話す。「一人ひとりのウェルビーイングを高め、社会システム(の整備)をテクノロジーで加速する。この掛け算を最大化すれば幸福な社会や世界平和も可能ではないか。100歳まで事業家として社会を変えることに尽くしたい」


Naonori Kimura
Industrial Growth platform, Inc. (IGPI) Partner

「壮大なビジョンと揺るぎない価値観」。これらが井上社長だけでなく組織全体の判断軸としてしっかりと根付いているのが、とても素晴らしいです。利他の心のもと多くの社会的価値をステークホルダーと共創していく、これらを純粋に愚直に進めていく企業文化は、まさにサステナビリティ経営の体現です。

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