September 27, 2024

<シックスセンシズ京都>が表現する、第六感に働きかけるインテリア・デザイン。

ライター:池輝子

<シックスセンシズ京都>のロビー。正面に見えるのが、京都の伝統的な焼物「楽焼」タイルを504枚使用した壁画。鞍馬山がモチーフになっている。ホテル内のインテリアや家具は<ブリンク・デザイン・グループ>が手掛けている。
PHOTO: BEN RICHARDS

自然派ラグジュアリーリゾートの先駆者として知られ、「Sustainability」と「Wellness」をテーマに世界展開するホテル<シックスセンシズ>が、今年2024年4月、日本に初上陸となるホテルを開業した。

<シックスセンシズ>が、その地に選んだのは京都・東山。京都国立博物館と戦国の世を統一した武将、豊臣秀吉を祀る豊国神社に隣接する、落ち着いた雰囲気ながらも、観光の起点となる古都の街中である。

古都の街に溶け込む、控えめな車寄せエントランスからホテル内部に足を一歩踏み入れると、中庭に面したロービーが現れる。フロントデスクがある壁面には、京都の伝統的な焼物「楽焼」の陶板504枚を使い幻想的な京都・鞍馬山を表した壁画が、またその向かい側の壁には、日本最古の漫画とも言われる国宝絵巻「鳥獣人物戯画」を現代的に解釈したユニークなアートワークが飾られている。このホテルのデザインは、日本独自の芸術文化が花開いたと言われる平安時代からインスピレーションを得て展開されているという。

<シックスセンシズ>が追及するのは、五感で感じる心地よさだ。そのため、“ラグジュアリー”という価値観を、単なる物質的なものから精神的・スピリチュアル的なものへと転換・昇華させる工夫が、目に見えるインテリアから、目に見えない館内に漂う香りやサービスに至るまで、随所に感じられる。その工夫はインテリア・デザインで言えば、木や石といった天然素材を内部空間に多く使用することや、職人の手作業の技を取り入れるといったことだろう。このホテルの空間デザインを手掛けたのはシンガポールを拠点に世界中のラグジュアリーリゾートを手掛ける<BLINK Design Group(ブリンク・デザイン・グループ)>だ。そのデザインチームを率いるファウンダーでクリエイティブ・ディレクターのクリント・ナガタにこのホテルのデザインについて聞いてみた。

中庭に面した「デラックスキング」の部屋(42㎡)。
© SIX SENSES KYOTO

地は、東西に細長く、東側にあるエントランスは交通量の多い通りに面しています。このような条件の中でも、ホテルのコンセプトである「ウェルネス」やバイオフィリックな環境を、ホテル利用者にどのように感じてもらえるのかがデザインを手掛けるうえで、重要なポイントとなりました。特に、ゲストが最初に触れるエントランスでは、素材感が感じられるシンプルで美しいデザインと遊び心を表現しています。折り本をイメージした天井や、優しい曲線を持つ家具、そして窓から見える中庭が、旅の始まりと終わりを豊かに演出してくれることでしょう」。 class=”hp_mb20″>「私たちにとって<シックスセンシズ>とのプロジェクトは、バリのウルワツに続き、ここ京都が2件目となります。しかしその違いは、京都のプロジェクトが、ローマに次ぐ<シックスセンシズ>2例目の都市型リゾートである点です。敷地は、東西に細長く、東側にあるエントランスは交通量の多い通りに面しています。このような条件の中でも、ホテルのコンセプトである「ウェルネス」やバイオフィリックな環境を、ホテル利用者にどのように感じてもらえるのかがデザインを手掛けるうえで、重要なポイントとなりました。特に、ゲストが最初に触れるエントランスでは、素材感が感じられるシンプルで美しいデザインと遊び心を表現しています。折り本をイメージした天井や、優しい曲線を持つ家具、そして窓から見える中庭が、旅の始まりと終わりを豊かに演出してくれることでしょう」。

彼が一番のお気に入りだというエントランスを抜け、客室へと向かう。その廊下は長めのアプローチが取られ、これから始まるホテル滞在へのゲストの期待感を高めてくれる。さらに客室に入ると、緑豊かな中庭や、部屋によっては豊国神社の緑が窓の外に広がり、部屋にいても自然を感じることができる。クリント・ナガタによれば、客室だけでなく、施設全体を通じて、ほとんどすべての場所から緑が見えるようなプランニングを行ったという。<シックスセンシズ京都>は、ホテルの中にいながら自然を存分に享受できる、まさに第六感に働きかける都市型ホテルといえるだろう。

PHOTO: BEN RICHARDS

SIX SENSES KYOTO

自然派ラグジュアリーリゾートの先駆者と評価されている<シックスセンシズ>は、1995 年にインド洋のリゾートからスタート。
2019 年より IHG の傘下となり、現在世界中で 26 軒のホテルを運営すると同時に、42 軒の新規プロジェクトが進行中だ。 その<シックスセンシズ>が日本初上陸地に選んだのが京都・東山。2024年4月開業の<シックスセンシズ京都>は、客室81室を擁する都市型ホテルだ。
客室は8室のスイートルームを含む12タイプがあり、スパやレストラン、バーは宿泊客以外でも利用することができる。●京都市東山区妙法院前側町 431 Tel:075-531-0700
https://www.sixsenses.com/jp/kyoto/

PHOTO: MASAAKI INOUE

BLINK DESIGN GROUP

<BLINK Design Group(ブリンク・デザイン・グループ)>は、2006年クリント・ナガタによりバンコクで設立されたデザインスタジオ。現在はシンガポールを本拠地に、バンコク・上海・ドバイ・東京にも拠点を構えながら、多くの国と地域でラグジュアリーホテルやリゾートホテルを手がけている。www.blinkdg.com

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