August 15, 2018
自然豊かな環境で育つ高級和牛〜鳥取県の平井伸治知事(鳥取県)
鳥取県は人口が日本で一番少ない県だが、清らかな水、昔からの森林、そして海の恵みなど、豊かな自然に育まれた、さまざまなすぐれた魅力を持っている。
そうした手の入っていない環境があるからこそ、中国地方にあるこの県は、国内外でさらに注目を集めるにふさわしい場所だ。
鳥取県の平井伸治知事は、「鳥取県には次世代に残したいものが残っています。それはつまり、豊かな自然であり、人々の心の絆です」と、このほど東京・千代田区のホテルニューオータニで行われたジャパンタイムズとのインタビューで述べた。
「鳥取県」と聞くと、日本海に面した鳥取砂丘や極上の松葉がにといったものを思い浮かべる人もいるかもしれない。豊富な海産物やナシ、スイカやラッキョウなどの有名な特産物のほかに、鳥取県は、鳥取和牛として知られる、高い評価を受けている牛肉の産地でもある。
平井知事は、「われわれの和牛は、昨年開かれた全国和牛能力共進会の肉牛群で1位になりました」と、5年に一度行われる「和牛のオリンピック」と呼ばれる大会の結果に言及した。
1966年に第一回大会が開催された際にも、鳥取県の「気高(けたか)」という和牛が1等賞になったと、知事は説明した。全国のブリーダーの間で人気だった気高は、9,000頭以上の子孫を残している。
「従って、日本の多くのブランド和牛には鳥取和牛の血が流れています」と知事は語った。そして、「最近では、『白鵬85の3』や『百合白清2』といった種雄牛がおり、これらもブリーダーの間で大変な人気を博しています」と話した。
白鵬85の3の子牛は4月の競りで、過去最高の一頭560万円の値を付けたという。
これまで鳥取県は和牛の発展に寄与してきており、その歴史と切っても切り離せない関係にある。
地元の人たちと牛の関係は、この動物が製鉄や農業で役牛として使われていた古代にまでさかのぼる。後に牛を食べることが徐々に広まってくると、鳥取県の人たちは「一番いい牛」を作ろうと取り組んだと、平井知事は述べた。
「1920年に日本で初めて鳥取県で和牛の戸籍簿が作られたんです」と知事は語った。そして、「牛の生まれが記録され、体形などについての全頭検査がされるようになりました」とも。
こうしたデータを基に、関係者はいい牛をかけ合せる努力を重ね、それがよりよい和牛を育てることにつながった。
「鳥取県で始まったこうした取り組みが、今世界で評価される和牛につながっているんです」と平井知事は指摘した。
鳥取和牛の一つの特長は、オレイン酸の含有量が高いことだと知事は述べた。融点が16度であるオレイン酸は、人の体温で溶けやすい。
「脂が舌の上でとろけるようで、なおかつ、胃にもたれないんです」と知事は語った。
鳥取和牛は高品質にもかかわらず、流通量が少ないこともあり、ほかのブランド牛に比べるとまだ知名度が低いかもしれない。鳥取和牛は全国の和牛のうち、0.6パーセントほどしかいないのだ。
鳥取県と農家の人たちは高まる需要に対応するため、その数を増やすべく取り組んでいる。平井知事は、最先端の技術を備えた大型の畜舎を建設中であると語った。
また知事によれば、鳥取県は5億円を投じて、科学的によりよい和牛を育てるためにゲノム解析を行う研究所を2018年度中に開設しようとしている。
「これまでの検査では時間がかかっていましたが、この拠点の開設で和牛の改良の速度が速くなります」と平井知事は説明した。
さらに、昨年の和牛オリンピックでの快挙により、鳥取和牛の知名度はより上がっている。東京の新宿にある有名な高級百貨店・伊勢丹は10月に鳥取和牛を販売し、11月29日(いいニクの日)に発表された、鳥取和牛4.5キロが入った29万2,929円という値段の弁当は注目を集めた。
ホテルニューオータニでは、8月31日まで鳥取和牛フェアを開催している。フェアではこの高品質の牛肉が、3つのレストラン―石心亭、清泉亭、リブルーム―にて、鉄板焼きやステーキで提供されている。
「ホテルニューオータニは東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ますます海外の皆様を集める最高級ホテルになると思います」と知事は述べた。そして、「ここで鳥取和牛が提供されることで、より多くの人が味わい、グローバルな認知度が高まると期待しています」と話した。